第九話:運命の使命と真実の心
エルミナ先輩と私は、彼女の鍵であるペンダントの真実を探るため、図書館の秘密の書物を読み解いていた。
彼女は、この図書館の番人としての「使命」を果たすため、感情を抑え、孤独に生きてきた過去を、私に話してくれた。
「この図書館には、星の書を守るための、古くからの決まりがあるの。
番人は、運命を導くために、誰とも深く関わってはいけない……と」
彼女の穏やかな微笑みの裏にある、深い悲しみと孤独に触れ、私の胸は締め付けられた。
ある夜、私たちが秘密の書物を読み解いていると、書物が突然、まばゆい光を放ち始めた。
書物には、運命を導く番人が、孤独に生きることを強いる、悲しい運命が記されていた。
「……やはり、運命は変えられない。私は、使命を果たすために、あなたと別れなければならないわ」
エルミナ先輩は、そう告げると、私に背を向けた。
しかし、彼女の震える背中から、本当は別れたくないという想いが伝わってきた。
「そんな……! エルミナ先輩は、一人ではありません! 私たち、みんながいます!」
私が彼女の手を強く握ると、彼女の首元につけられたペンダントが、強く輝き始めた。
ペンダントは、彼女が背負っていた孤独な使命を打ち消すかのように、温かい光を放っていた。
「私の使命は……あなたたちと共に、未来を歩むこと」
彼女の言葉と共に、ペンダントから放たれた光は、秘密の書物を優しく包み込み、悲しい運命の記述を、新しい希望の記述へと書き換えていった。
エルミナ先輩は、私の手を両手で優しく包み、瞳を潤ませながら言った。
「私は、ずっと孤独に使命を果たしてきた。でも、あなたと出会い、孤独ではない『愛』を知った」
「あなたの運命を、私が隣で導きたい。私の使命は、あなたを守ることよ」
彼女の笑顔は、美しく、そして神々しかった。
彼女の「使命」の真実が、私への「愛」へと昇華された瞬間だった。