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第八話:故郷と絆が結ぶ未来

 アルタイル様と私は、彼の鍵である石版が示す手がかりを追って、彼の故郷へと旅をしていた。


 旅の道中、アルタイル様は世界中の珍しい品や、旅先での愉快な話で私を笑顔にしてくれた。

 しかし、夜になり、星を見上げる彼の表情は、いつもどこか寂しげだった。


「僕の故郷には、こんなに綺麗な星空があったのかな……」


 私は、そんな彼の姿を見るたびに、彼の明るさの裏にある、故郷を失った悲しみに、そっと寄り添っていた。


 数日後、私たちは石版が示す場所にたどり着いた。


 しかし、そこには、村の面影はどこにもなく、ただの廃墟が広がっていた。

 アルタイル様は、その光景を見て、膝から崩れ落ちた。


「……僕の故郷は、もう、どこにもないんだ」


 彼の瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちた。

 彼の陽気な笑顔が、悲しみに歪むのを見て、私の胸は締め付けられた。


「アルタイル様……!」


 私は、彼に駆け寄り、彼の震える手に触れた。


「故郷は、場所ではありません。心が通じ合う人がいる場所です」


 私の言葉に、アルタイル様は顔を上げた。


 その時、彼の持っていた石版が強く輝き始めた。

 石版は、彼が探し求めていた故郷の紋様ではなく、彼の心に刻まれた、私との「絆」を映し出していた。


「僕が本当に求めていたのは、失われた故郷の絆ではなく、君と築く新しい絆だったんだ」


 アルタイル様は、私を強く抱きしめた。


「君といると、心が温かくなる。君といる場所が、僕の新しい故郷なんだ」


 彼の言葉は、震えていたが、深い愛情に満ちていた。


「だから……僕の隣にいてほしい。僕の新しい故郷を、君と二人で築きたい」


 彼の「絆」の真実が、私への「愛」へと昇華された瞬間だった。

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