表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/14

第五話:謎めいた先輩との出会い

 私は、シリウス様、ルナリス様、アルタイル様、三人から運命の鍵の手がかりを得た。


 しかし、その鍵をどう使えば星の書の魔力を回復できるのか、その答えはまだ見つかっていなかった。

 それぞれ異なる鍵が、なぜ一つに結びつくのか、私には理解できないでいた。


 ある夜、私は一人、沈黙した星の書の前に立っていた。

 三人の協力を得たにもかかわらず、進展がないことに、焦りと不安を感じていた。


 その時、背後から優しい声が聞こえた。


「一人で抱え込まないで。その重荷は、あなただけのものではないわ」


 振り返ると、そこに立っていたのは、図書館の先輩番人、エルミナだった。


 彼女は、いつも穏やかな微笑みを浮かべ、静かに図書館の番人の仕事を務めている。


「エルミナ先輩……」


 私が声をかけると、彼女はゆっくりと私の隣に立ち、沈黙した星の書を見つめた。


「その書物は、魔力を失ったのではなく、あなたを待っていたのよ」


 彼女の言葉は、私の心を揺さぶった。

 星の書が魔力を失ったのは、私を導くためだったというのだろうか?


 エルミナ先輩は、私の胸元にある、運命の鍵が眠る場所を示す星の光に、そっと触れた。


「あなたを導いているのは、この光だけではない。星の書とあなたは、特別な繋がりがある。

 それは、私たち番人だけに与えられた、運命の絆よ」


 彼女の言葉に、私の魔力に反応して、鷹の光が飛び出した。


 鷹は、エルミナ先輩の周りを飛び回ると、彼女の首元につけられた、星の書と同じ紋様のペンダントを、優しく突いた。


「……あら、どうしたの?」


 私が慌てて鷹を呼び戻そうとすると、エルミナ先輩は、微笑んで私を制した。


「いいのよ。この子は、何かを教えようとしているわ」


 彼女は、ペンダントに手を当て、私に告げた。


「このペンダントは、私が図書館の番人になった時、この書物から賜ったもの。

 これも、運命の鍵の一つかもしれないわね」


 しかし、私の胸元の光は、彼女のペンダントには反応しなかった。

 エルミナ先輩は、そのことを知っているかのように、静かに微笑んでいた。


「鍵は、それぞれが持つ意味を理解して初めて、真の力を発揮する。

 あなたと、彼ら、そして私、それぞれの鍵が持つ意味を理解した時、星の書は再び輝きを取り戻すでしょう」


 エルミナ先輩の言葉は、謎めいていたが、私の心を温かく包み込んだ。

 彼女は、すべてを知っているかのように、私を優しく導いてくれる存在だった。


「さあ、行きましょう。私たちが、この書物を守るのよ」


 彼女は、私の手を取り、温かい声でそう告げた。

 彼女の手は、驚くほど冷たかったが、その心は、私を勇気づけてくれた。


 こうして、私は謎めいた先輩と共に、運命の鍵の真の意味を巡る旅を続けることになった。


 彼女の穏やかさの奥に隠された、深い謎が、私を惹きつけてやまなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ