第十ニ話:知の探求者
王国の危機を救った後も、ルナリスはエステラを「僕だけの研究対象」として、熱心に研究を続けていた。
彼の研究室では、エステラの加護を解析するための魔法陣が日々更新されていた。
ある日の午後、ルナリスはエステラを研究室に呼び出した。
「君の魔力は、依然として非論理的だ。だが、その謎こそが、僕の探求心をくすぐる」
彼は、エステラの手を取り、熱心に語り始めた。
「君は、僕に、古代魔法の真実を教えてくれた。だが、それだけではない。君は、僕が知らない『知』を、僕に与えてくれた」
彼の瞳には、これまでにない情熱が宿っていた。
「君の魔力は、僕の理論を超える。
君の存在は、僕の探求心を永遠に満たしてくれる。だから……」
彼は、エステラの顔を両手で包み、彼女の唇にキスを落とした。
「僕の探求の対象は、君の能力ではない。君自身だ。僕の傍にいて、僕を一生、退屈させないでほしい」
ルナリスのキスは、知的な探求心と、深い愛情に満ちていた。
彼の探求は、星の書の謎を解くことから、エステラという存在を愛することへと変わっていた。
彼は、宮廷魔術師としての地位を確立しながらも、エステラの隣で、永遠の知の探求を続ける。




