第十話:星の書が導く真実
私たちは、それぞれが持つ「運命の鍵」の真実を解き明かし、再び沈黙した「星の書」の前に集まっていた。
シリウスの剣、ルナリスの古代魔法の羊皮紙、アルタイルの故郷の石版、そしてエルミナのペンダント。
鍵はすべて揃ったが、星の書の魔力は回復しない。
私たちは、互いの鍵に込められた想いを語り始めた。
「私の剣は、王国の民を守るためのものだった。
だが、今、その真実は、エステラ、君を守るという誓いだ」
シリウスが、強く剣を握りしめる。彼の鍵に宿るのは、『守護』の真実。
「僕の羊皮紙は、古代魔法の叡智を解き明かすためのものだった。
でも、その真実は、エステラという唯一の謎を、一生かけて探求するという僕の想いだ」
ルナリスは、羊皮紙を見つめ、静かに語る。彼の鍵に宿るのは、『探求』の真実。
「僕の石版は、失われた故郷の絆を求めるものだった。
だけど、その真実は、エステラ、君と築く新しい故郷への想いだ」
アルタイルは、石版を手に、温かい微笑みを浮かべる。彼の鍵に宿るのは、『絆』の真実。
「私のペンダントは、孤独な番人としての『使命』だった。
ですが、その真実は、エステラ、あなたと共に未来を歩むという、私の決意です」
エルミナは、ペンダントに触れ、優しい眼差しでエステラを見る。彼女の鍵に宿るのは、『使命』の真実。
その時、私の胸元の星の光が、強く輝き始めた。
「みんなの想い……聞こえる!」
私の魔力が、彼らの鍵に込められた真実と共鳴し、図書館中に満ちていく。
私が魔力を込めて祈ると、鷹の光が飛び出し、それぞれの鍵を掴み、星の書の前に並べた。
「みんな、鍵に触れて! それぞれの想いを、星の書に届けて!」
私の呼びかけに、彼らは迷いなく鍵に手を触れた。
シリウスの『守護』の想いが、強固な光の結界となって星の書を包む。
ルナリスの『探求』の想いが、光の粒子となって書物の文字を修復していく。
アルタイルの『絆』の想いが、書物を温かく包み込み、生命力を取り戻す。
そして、エルミナの『使命』の想いが、これらの光を一つにまとめ、星の書へと注ぎ込んだ。
そして、私の加護が、そのすべての想いを束ね、星の書へと届けた。
「ありがとう……」
星の書から、優しい声が聞こえた。それは、精霊たちの喜びに満ちた声だった。
沈黙していた星の書は、再びまばゆい光を放ち始めた。
その光は、図書館全体を包み込み、そして王国中に広がり、王国の魔法は、再び力を取り戻した。
こうして私たちは、星の書の魔力を回復させ、王国の危機を救った。
しかし、物語はまだ終わらない。
彼らとの絆は、強固なものとなり、星の書が示す、それぞれの未来へと、新たな物語が始まるのだ。




