表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

あーかい部! 47話 甘え

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「あさぎ、きはだ。2人に相談させてもらったのは他でもない…………、」


「……。」


「……ごくり。」




部室に3人揃うのを待っていたひいろは、神妙な面持ちで2人に悩みを打ち明け




「『甘える』ってなんなんだ?」


「「は…………?」」




悩みを




「え、甘……え?」

「え……?」




打ち明け……




「ああそうだ。」


「「ふざけるなぁぁあ!!」」




打ち明けた。




「もう!なんなのめちゃくちゃ深刻そぉ〜な顔で『2人にしか相談できない悩みなんだ……』とかひいろが言うからめっっちゃくちゃ構えてたら……はあ!?」


「お、おいどうしたんだ?」


「野良猫にでも甘えてくればぁ?」


「なんか当たりキツくないか!?」


「「当たり前だ(よ)!!」


「そんなに悪いことしたのか……。わかったよ、ワタシ1人で考え




席を立ち1人で部室を出ようとしたひいろの両肩が2つの手によって引き止められた。




「まあ待ちな子羊ちゃん。」


「はぁ……。仕方ないから聞かされてあげるよ。」


「…………2人とも!」




なんだかんだ付き合いはいい2人であった。






「それで、相談なんだが……、




ひいろの相談はふざけたものではなく、頑張り屋で無理をしてしまう癖がある知人に適度に息抜きするよう伝えたら、それは甘えだと言われてしまったというものだった。


ひいろは、甘えは悪じゃないと伝えたかったようだが、甘えがなんなのかよくわからなくなってしまった……という内容だった。




「……というわけなんだ。」


「「……。」」


「……2人とも?」


「あーはい、そうですねー。」


「うんうんそうだねー。」


「真剣に聞いてくれよ〜!?」


「じゃあひいろ……真剣に、アドバイスするよ?」


「あ、ああ頼む……!」


「その悩みって、甘えは関係ないんだよ。」


「なに……!?どういうことだ?」


「いい?ひいろちゃん。解決の極意は……、




あさぎときはだはお互いの顔を見合わせてうなづくと、




「「『ドンッ!クイッ、チュ』だっ!!」」




「どん……くい、ちゅ?」




ひいろは何のことか全くわからなかった。




「……沖縄の、食いしん坊?」


「丼食い(どんくいんちゅ)じゃないんだよっっ!!?」


「早くて美味くて安いヤツじゃないんだよぉっ!?」


「ち、違うのか……。」


「何がどう転んで沖縄が解決の鍵だと思ったのっ!?」


「だって2人が真剣に


「うっせぇ牛丼食ってろ!」


「300年一筋かぁっ!」


「うっ……こんな意味不明なツッコミ、どう受け止めればいいんだ……!?」


「コホン。まあこれはおいおいやってもらうとしてだねぇ……、


「『おいおい』やるのか……!?」


「ここは自分に甘い青野あさぎにお任せあれ……!」


「出た!人間糖度10!」


「それ、誇っていいのか……?」


「まあまあ、まず甘えが何かについてだけど……ズバリ自分を甘やかすことだよね。」


「ま、まあ……言葉の意味通りなら、そういうことだよな。」


「自分を甘やかすっていったらぁ〜、ご褒美とかだよねぇ。」


「ご褒美……。」


「頑張った自分へのご褒美……何でもいいんだよ?欲しかった新刊を買う、ちょっと高めのお菓子を食べる、頑張った翌日は超寝る、とか。」


「でもそれは頑張った後の話だろう?ワタシは、鶸田(ひわだ)先輩が頑張りすぎる前に引き止めたいんだが……。」




((今『鶸田先輩』って言ったな……。))




「だったらあれだよぉ、また『……ワタシもキミが心配だ。』って囁けば


「ひ、鶸田先輩は関係ないだろう……!?」




((自分で言ったくせに……。))




「それに、あんまり何度も言うのはくどくないか?お母さんじゃあるまいし……。」


「じゃあやっぱり『ドンッ!クイッ、チュ』だね。」


「だからなんなんだそれは……。」


「くっ、八方塞がりか……!」


「囁くのとナゾの擬音しか出てないんだが。」


「『しか』って言うけどさあ、ひいろ自身は何かないの?」


「何かと言われても……頭を撫でたり、膝枕したり、マッサージするくらいしか思いつかないな。」


「「それでいいんだよ。」」


「全部スキンシップなんだが……。」


「鶸田先輩は『甘えは悪』って言ったんでしょ?」


「知人だけどな。」




((頑なに認めねえなコイツ……。))




「だったらたくさんスキンシップして、いい思いさせてどっぷり依存させちゃえばいいんだよぉ。」


「なんだか、悪いことしてるみたいだな……。」


「必要悪だよ、ひいろ。」


「そうなのか……。」


「無理して怪我されるよりはマシでしょ〜?」


「た、確かに……?」


「仲良くなれば聞き入れてくれるかもだし。うんうん、」


「式には呼んでよねぇ?」


「なんのだよ!?」


「とりあえず……、




「「行ってこい。」」




ひいろは2人に部室から閉め出されてしまった……。




「ったく、なんなんだよ。



「まあ、なんだかんだ相談には乗ってくれたし……とりあえず行くか。」




ひいろの後ろ姿は、ちょっとだけ軽い足取りでグラウンドへと消えていった。






あーかい部!(4)




ひいろ:投稿完了だ


白ちゃん:お疲れ様、今日はひいろちゃんの番みたいだけど……上手くいった?


ひいろ:2人に聞いたのか


白ちゃん:カウンセリングも私の仕事なのに悪いわね


ひいろ:いいんだ、同じ言葉でも誰が言うかで効果は変わるしな


白ちゃん:それって、私の言葉には説得力がないって意味……?


ひいろ:あ、いや違う!?そうじゃないんだ

ひいろ:そういえばあさぎときはだ遅いな〜


白ちゃん:ひいろちゃん普段『〜』なんて使わないでしょう


ひいろ:〜♪


きはだ:ええいじれったい!!


あさぎ:さっさと成果報告するんだよ!!


ひいろ:なんだなんだ……!?


きはだ:どうなんだいひいろちゃん!『チュ』はしたのかい『チュ』は!?


あさぎ:せめて『クイッ』はしてるよね……!?


白ちゃん:なんの擬音なのよ……


ひいろ:何を指してるかは未だにわからんが、前よりもちょっとだけ仲良くなれたぞ!


きはだ:まさかひいろちゃん、やったのか……『ズキュゥウウウン』を!?


白ちゃん:だからなんの擬音なのよ


ひいろ:それやったかも


あさぎ:さすがひいろ、私たちにできないことを平然とやってのけるッ


きはだ:そこにシビれる!あこがれるゥ!


あさぎ:マジで……!!??

きはだ:マジで……!!??


ひいろ:『ズキュウウウン』とはちょっと違うかもしれないが


あさぎ:話せ

きはだ:話せ


ひいろ:手のひらをマッサージしたら、お腹の奥がポカポカして、『キュウッ』てしたみたいだぞ!

白ちゃん:爆ぜろ

あさぎ:爆ぜろ

きはだ:爆ぜろ


ひいろ:白ちゃんッ!?


きはだ:反応最速で草ァ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ