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2. 転生聖女

そんなこんなで限界社畜OLの秦野理沙(ハタノリサ)は天に召されたはずだった。

そのはずなんだけどこの状況はなんなんだ。

多分簡単に説明したら、意地悪な神様がいれば優しい神様もいるって話だと思う。


理沙、あんた生きてるっぽいよ?


いや、そんなことは無いと分かってるんだけどさ?



私、限界社畜OL秦野理沙、


この度どこか知らない所で誰かわからない子供に転生したっぽいです?!



死んだと思ったら目が覚めた。

生きてんなら帰って推し活しなきゃと起きあがったんだけど、、

ここはどこ…?私は誰…?



起き上がって1番初めに目に入ったのは白を基調とした洋風のアンティーク家具達、そして私が今居るレースの天蓋付きベッドと私にかけられていたふわふわな淡い黄色の羽毛布団。こんな見た目の部屋、病院ではないことは確かだろう。

そして何より驚いたのは、私の手がなんか5歳児程の大きさまで縮んでいること…。


日曜日の深夜にテレビでやっていた

世界のお城を紹介する番組でしか見たことない様な家具たちを見回していると鏡付きの大きなドレッサーを見つけた。


鏡でとりあえず自分の姿を確認しよう…


理沙はふかふかの羽毛ぶとんから出て無駄に広いレースの天蓋付きベッドから降りた。

立ち上がった目線からも明らかに身長が縮んでいる事がわかった。

元々身長はそんなに大きかった訳では無いが、ここにある家具が特大サイズじゃない限り理沙が縮んだであろう目線だった。

足元に目線を向けるとやはり足も手と同様に5歳児くらいまで縮んでいた。



…とにかく自分が今どんな姿なのか確認しなくちゃ。



不安ばかりが頭を支配する中、先程見つけた鏡付きの大きなドレッサーまでかなり短くなった脚で向かった。


ドレッサーにたどり着き前に立つだけでは鏡まで届かなかったので椅子を後ろに引き、その上に登った。

そしてようやく鏡に到達したが、鏡を覗いた瞬間理沙は不安が吹き飛ぶくらい驚くことになる。


鏡に映った自分は

足が(モツ)れてコケて死んだ24歳の理沙の面影なんて一切なかった。


髪はおへそより下辺りまであるいちごミルクにもう少しミルクを足した様なホワイトピンクのふわふわくせ毛。

赤み強めピンクの大きな瞳でタレ目。左の目の下に涙ボクロが2つ。

ぷくぷくな頬に、ちゅるんとしたちいさな口。

どこをどう見ても日本人離れした顔立ちの5~6歳くらいの幼児…。


誰だこれは。

本当に私…??


…というかこんな感じの目に左側に泣きぼくろが2つ、、?


どこかで見たことあるような、無いような……。



変わりすぎた見た目に困惑しつつ、鏡に映った姿をどこかで見たことある気がして考え込んでいると

背後からドアをノックする音が聞こえ、予期してなかった音にビックリして慌てて返事をしたらドアをノックした相手からも返事が返ってきた。



((コンコンコン


「…ッひゃい?!」


「…ローラです。失礼致します。」



ローラってだれ?!

てか、失礼致します?!

え、部屋に入ってくるの?!?!!



慌てている理沙に容赦なくローラと名乗った誰かが部屋に入ってきた。


いわゆる男性向けに着るコスプレのようなスリットが両サイドに入っている黒の修道服を身につけたシスターだった。

髪はホワイトブロンドで「くせ毛とは何ですか?」と言わんばかりの綺麗なストレートヘアー。

首にはシルバーの大きな十字架のネックレスをしている。


ローラの外見からもやはりここは日本では無いのかもと思っているとローラが先程まで理沙が居たベッドを片付けながら話しかけてきた。



「おはようございます。リリア様。

今日は珍しく自分で起きられたのですね?

お寝坊さんはもうご卒業致しましたの?」



ローラの話し方はちょっとゆったりした感じで、お姉様と呼ばれるのに相応しい様な声をしている。


こんな良い声でしかもこの丁寧なお姉さん口調で、お寝坊さんは卒業したのかなんて言われたら…ねぇ??

生前に出会っていたら推し確定だったよ。

見た目もロア様を女体化したみたいな感じでバッチリタイプだし、なんせ声がいい!! ロア様の女体から出る声を想像したらローラの声、話し方はバッチリ似合う。

いや、生前とか言わずにリアルで会える推しもありか?!ここ、どこかわかんないけどローラ様が降臨なさってくれたからもうどこでもいい気がしてきた!



ローラの問に返事をせず百面相しながらヲタク炸裂している理沙にローラは少し困った顔をしながらまた話しかけてきた。



「リリア様?? 私の声届いておいでですか?

それともまだ夢の中ですの?

ようやくお話してくれるようになったのに、また私のことまで放置なさらないでくださいな…」



『えっ?あ…えっと…ごめんなさい。放置なんてしません。おはようございますローラさん。』



「ローラさん…???」



やばい、私さっきなんかリリア様とか呼ばれてたってことは、もしかしてローラ様に対してさん付けも様付けもおかしい?!


慌てて言い訳を考えた。



『いや、えっと、、違うの!!ローラ!!寝ぼけてて間違えちゃっただけなの』


あたふたしながらもどうにかこの場を乗り切ろうとがんばったが、いや、寝ぼけて間違えただけってどうなのよ…。。


言い訳した後も百面相を繰り返しているとローラはクスクスと笑いながらもテキパキとベッドの上を綺麗にし終え、理沙の側まで寄ってきた。


「もう、リリア様ったら。やっぱりお寝坊さんはまだまだご健在ですわね?」


そういいながら理沙の頭を優しく撫でてきた。


やっぱりローラ様は最高のお姉様だ。

理沙の今後の推しになってもらおう。

そうしよう。


にまにまと顔の表情筋が崩壊していると、

ローラは撫でている手を止め理沙の服を早業でかわいい水色のドレスに着替えさせ、理沙をドレッサーの椅子に座らせた。


「リリア様ったら、本当に何を着ても天使みたいに可愛いですわぁ。御髪も綺麗にしてドレスとお揃いのリボンも付けましょうねぇ」


テキパキと理沙の身なりを整えているローラを目で追いつつ、天使のように素敵なのはローラ様だと心の中で返事をする。


推しに髪の毛を梳かしてもらいながらふと思ったことをローラ様に聞いてみることにした。


『ローラ、私ってリリアって言うの?としは?』


「えぇっと、?リリア様はリリア様ですよ?聖女リリア様。ご年齢は明日で5歳になります。あんなにお誕生日楽しみになさってたのに。いきなりどうしたんですかぁ…?」



…この人なんて言った……?

聖女、?…だれが聖女?私はリリア様で、?どちらの方が聖女リリア様…???



よく思い出せ。

いや、よく思い出さなくてもよく知っている…。


髪の毛がホワイトピンクのくせっ毛でタレ目の左目下に泣きぼくろが2つ…

そして名前は"聖女リリア"…

そんなのひとつしか思い浮かばない…

最終決戦の時しか出番が無いラスボスのロア様を拝む為に何度も周回したあのゲームのヒロインで、ラスボスである私の推しのロア様を攻略対象と一緒に倒す聖女…


私…自分の推しの、、ロア様の世界…しかもロア様の宿敵の…まじらばの聖女リリアに転生しちゃったってこと?!


最悪だ…。自分の推しを殺さなきゃ行けないなんて…。死ぬより不幸だ…。


私はこの世の終わりを間近にした時にしか出ないような絶望の表情から、あまりにも悲劇すぎる現状に思考を放棄し白目を向いてぶっ倒れた。



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