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1. prologue

いつも通りの残業。

いつも通りの終電帰り。

今日も今日とて社畜ご苦労さま自分。


そうやって自分自身を褒めてないとやってられない人生。

ウンザリするけど、社畜頑張ってるおかげで推しに貢げるんだから感謝残業手当!!


推し活資金調達残業をやり切った限界社畜OLの秦野理沙(ハタノ リサ)本日も推しの元へ帰宅するため終電ダッシュ致します!!


駅までの道は歩いて30分前後の距離だが、仕事量考えれない部長のせいで毎日終電30分前なんかには終わらない。なんなら猛ダッシュギリギリ終電に間に合うように終われるようになったのは入社して1年経った頃だ。こんな会社辞めてやるって何度も思ったことはある。だが、結局はこの仕事好きなんだよなぁ。


私、秦野理沙(ハタノ リサ) 24歳。

仕事は出版社でヲタク雑誌の編集者をしている。

年齢=彼氏いない歴の女だが、最近は推しがいるので寂しく無い。


「LOVERS' MAGIC」通称「らばまじ」

聖女(プレイヤー)が攻略対象者と力を合わせて魔王を倒すという育成やバトルもある乙女ゲームで、

理沙の推しはらばまじに出てくるラスボスの魔王「ロア・ヴェルドルシア」様だ。


…推し……そう!!推しが!!愛しのロア様が家で待ってるんだった。


今日は金曜日で明日明後日は待ちに待った休暇だ。

思う存分ロア様を堪能出来る日だ。

仕事が好きだとか考えながら走ってる余裕は無いんだ。急いで帰らねば!!


急いでタイムカードの打刻を済まし、全速力で外に出る。

終電帰り常習犯な理沙は、

広い大通りを通るより人気が無く申し訳程度にある街灯が余計気持ち悪さを醸し出している大通りから外れた道を通る方が近道だと知っている。

終電に間に合う為と何度も使用している如何にもオカルト的な何かに遭遇しそうなこの近道を推しの存在を思い出して浮き立った気持ちを燃料に全力で駆け抜ける。

近道を抜け、駅までは残り5分程。

この5分が勝負だ。

駅前の道で終電間際でも人がうようよいる。

だから如何に人に当たらずスピーディにこの道を走り改札を通るかが終電に間に合うというミッション達成の鍵となる。

ファミレスや居酒屋やコンビニなど遅い時間までやっているお店の灯りや街灯でとても明るい。

定時の時間くらいまで降り続いていた雨のせいでまだ湿っているレンガ造りっぽい道が光に照らされてキラキラしている。

週末ということもあり疲れがピークに達している私にはキラキラと光った地面さえ推しの為に頑張っている私を応援してくれてるように感じる。

推しへの気持ちは誰にも負けないと自負しているし、地面にも応援してもらえてるこの状況。間に合わないなんてそんなことはありえない。



ありえないはず…。



今日中に帰って推しを少しでも長く堪能したいという私の切なる願いは天界の住人には一切届かなかった。神様はなんて意地悪なのだろう。急いでいる時に限って嫌がらせをしてくる。



私の脚は見事に絡まり散らかした。



「…は???」



なんか宙に浮いてね?自分。

…あぁ、こういう時って本当にスローモーションになるんだな…

視界良好すぎて地面のアスファルトの石がきらきら光ってて眩しい。


そんなことを思ってると、いきなり頭から酷い痛みを感じた。


ゴンッ


ありゃぁ、、頭ぶつけたわ今。うーん、これはたんこぶコースかなぁ…いや、まじ何してんの私。何も無いところで脚絡まってコケるとか。ぜんぶ部長のせいだ。疲れてるんだ私。痛いけど急がないと終電逃してロア様との時間が短くなってしまう。

ロア様との時間を守るためには早く起き上がってロスしたぶん急いで駅まで走らなきゃ……


………。。。


起き上がろうとしたが私の体はピクリとも動かない。


いやいやいや、体動かないとかナシでしょ?

たかが脚絡まってコケただけ…ダヨネ、、?

え、私、脚絡まってコケただけだよね??

そりゃ、たんこぶできるかなぁて思うくらい頭痛いし、どっかしら擦りむいて出血もちょっと(?)してるんだけど…

え、このまま死ぬとかないよね…???



嫌な予感って当たるもんだ。

体は全く動かないしなんなら意識も朦朧としてきている。


待て待て待て…あたしホントに死ぬ感じだこれ…

こんなに1週間仕事頑張ったのに…??

不幸すぎるでしょ。。


どうせ死ぬなら、、最後に…




「ロア様を、、ロア様のご尊顔を拝みたかった…」




限界社畜OL秦野理沙、最後の願いを呟き私は意識を手放した。

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