覆面の男2
「ゲホッ…」
俺はまた目を覚ました。
今度は先ほど起こったことを即座に思い出し、自身の下半身を弄る。
「よ、よかった!あ、ある…!」
自分に足が付いてることにとてつもない安心感を覚える。
さっきは自分の状態は目視していなかったため推測になるがおそらく真っ二つにされたのだろう。
あの時の地獄のような痛みを思い出し俺は思わず身震いしてしまう。
そしてそのままその場にうずくまる。
「死にたくない…死にたくない…」
あの痛みをもう感じたくない。もう辛い思いはしたくない。怖い。
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3日が経過した。
時々人の声は聞こえたが、俺は反応する気にはなれなかった。脱水症状がひどく、身体の倦怠感と痺れが止まらない。このままでは死んでしまう。
死…。また死か。このまま死んだらどうなるのだろう。
またここに逆戻りでもするのだろうか。
でも痛いよりはマシだ。
もう一生このままでいいかもしれない。
と思っていたその時、ドアが開いた。
外は夜だったらしく月のような光が中に入ってくる。
俺は薄れた意識で扉の方に目を向ける。
そこにはこの前殺された男が立っていた。
「なんだよお前…結局そうなるのかよ…」
俺は絶望よりももはや諦めに近い感情が芽生えた。この世界は何が何でも俺を殺すらしい。死の輪廻から逃れることなどできないのだと急速に悟った。
「金剛力」
男はそんな俺を哀れに思ったのかため息混じりにそう唱える。
瞬間、男の蹴りが俺の顔面目掛けて飛んでいき、俺の頭はまるで夏の海辺のスイカのように粉々に粉砕された。