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ダークビースト  作者: エロ姉
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義勇兵

義勇兵や冒険者には等級があるらしく、1等級から6等級まで存在する。6等級、5等級は言わば駆け出しみたいなもので比較的簡単な魔物や薬草採集、街の雑用、簡単な護衛などの依頼を受けることができえる。俺が持っている資格がこの6等級だ。

 4等級、3等級になるとより大きな案件、強い魔物の討伐、要人警護、または貴族や豪商からの依頼を直接受けることができるようになる。

 2等級は人外の領域と言われており、義勇兵または冒険者として輝かしい功績をあげた者がなれる領域らしい。このクラスの者はほんの一握りしかおらず例を挙げるとするならば、別の国でパーティを組んでいた傭兵集団の7勇者がそれにあたるらしい。一人一人の強さの桁が人族を超越しているため英雄と言われていたらしいがバルデッタってそんなやばい存在だったのか。

 1等級は一騎当千級の人物に贈られる称号で、単独でダークビーストや闇の眷獣などを倒せる力を持っている者に贈られる。例を挙げるとすれば、最近ダークビーストを屠ったとされる単眼の英雄ことアングラ・エイテン・クァン・タティや東の地を支配していた強大な力を持つ闇の眷獣を討ち倒した紫の魔女などが挙げられる。両者とも冒険者でも義勇兵でもない上、もはやこの領域は世界に数えるほどしかいないためあってないような物らしい。

 また、魔物のような脅威になりうる存在にもおおよその指標があるらしいが俺にはさっぱりわからなかったから割愛しよう。

 まぁ、そんなわけで6等級のクソ雑魚義勇兵である俺は今日もソロで薬草採集を行い、路銀を稼ぐため依頼を受けに来ていた。

 

「えーっと依頼依頼…薬草採集…あった」


 俺は薬草採集の依頼を3枚取り組合のカウンターに持って行った。


「あのるさんまた薬草採集ですか?組合としては助かってますけど」


「えへへ。誰かがやらないといけないこともあるんですよ」


「それはそうですけど…このままだと5等級には上がれませんよ?」


「いいんですよ。俺上を目指すとか成長とか目標とか向いてないし」


「それならいいんですけど…3件の同時依頼ですね。承りました」


「えへへ。よろしくお願いします」


 俺は依頼を受け終わるとさっさと足早に組合を去ろうとした。

 理由は3つ。

 1つはおれが黄人族という種族に分類されるみたいで、まずここにはあまりいない種族なので人の目を引くからだ。

 2つ目は俺が誰とも馴れ合おうとしないソロだから。

 3つ目は薬草採集依頼しか受けない駆け出しの変人だからだ。

 まぁ俺は別にいい。人から奇異の目で見られるのは慣れてるし、人と話さなくても…別にいいんだからねっ!

 などと言い訳をしながら組合から脱出する。

 そして俺は森のある方角へ歩き出す。いつものルーティンだ。

 薬草採集の依頼をこなしていれば食う寝るに困らないし、少しづつだがお金が溜まってきている。あと10回くらいこなせばさらに北の街に移動しよう。そこでも薬草採集して地道に進んでいったらいい。

 だが、そんなことを考えてる矢先後ろから声をかけられた。


「やぁやぁ新人くん」


 振り返ると笏丈のようなシャラシャラ鳴る棒をもったいかにも神官みたいな猫型の獣人族の女の子が立っていた。そしてもう2人おり、1人はいかにも重戦士といった感じの190はあるだろうかというほどのうわぜのデカい、全身鎧で大剣を担いだ熊型の獣人族の青年、もう1人は古めかしいグレー色ローブで顔の半分を覆っており、チラリとのぞいた口元は青白く不健康そうな見た目の背の低いおそらく魔法使いのような女性だった。

 俺は辺りをキョロキョロ見渡す。


「がっはっは!こいつ自分かどうかわからないみたいだぜ!がっはっは!」


 熊型の大漢が陽キャみたいにデカい声で捲し立てる。


「あまり大声を出さないでください。耳に響きます」


 それに対してローブの女が耳を塞ぐような仕草をして咎める。

 俺はそれを見てオドオドしながら問いかけた。


「えっと…俺…?」


 オドオドした俺の姿を見た猫型の獣人族の子は「あはは」と笑いながらも気さくな態度を崩さずに続ける。


「そーそー。君」


「えっと…俺になんか用…?」


 俺はなんで声をかけられたのかわからずキョドってしまう。


「君、毎日森へ行ってるよね」


「え…はい…」


「あたしらもそこに行くんだー!一緒に行こうよ!君のことも気になるし」


「え、はい…。いいですけど…」


「あ!ごめんね!あたしエルフリーデ!エルって呼んでね」


「は、はいエルさん。俺…亜ノ流…」


「変わった名前だねー!聞いたことないや!」


「それはそうでしょう。見たところはるか西方の出身とお見受けしますので。あ、申し遅れました。わたくし、サーシャと言います。よろしくお願いします」


「俺はカールだ!よろしくな!がはは!」


「だから耳元で大声出さないでと言ったでしょう」


「すまねぇ。悪かった」


「次から気をつけてもらえれば大丈夫です」


「よ、よろしくお願いします。サーシャさん。カールさん」


 俺、伊藤亜ノ流。異世界で初めて陽キャに絡まれました。


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