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339話『VSクラーケン』


海が大きく荒れ始め海上に出ていたボロボロの触手が海中へと消えていき…すぐそこで海が大きく盛り上がっていく、そして巨大な影が海中から飛び出すかのようにその姿を現す。


「…で…でかい…」


それは海中から勢いよく飛び出したからかその全身が海上へと飛び出す、体長35mはあるだろうか?その姿は大きな頭に触手に付いている無数の吸盤からタコに似ているが目算でその触手が合計10本あるのが分かりイカにも思える…アユムが居た世界では伝説の化物とされるクラーケンが目の前に現れそのギョロッとした目と目が合い底知れない恐怖で背筋が凍る。


「束刺槍用意!てぇー!」


空中に飛んだことで全体がよく見えあまりにも狙うには丁度いいチャンスであった、冒険者の男はそのチャンスを逃さず合図を送った瞬間…アミーラの砲撃に負けない爆音が響き束刺槍に装填されたロープ付きの槍が発射される。

勢いよく飛んで行った槍はいくつかは外れたがそれでも3本はクラーケンの触手、頭、胴体にしっかりと突き刺さりクラーケンが海に着水すると同時に男達がロープを掴む。


「ぬおおおおおおおお!ひっぱれぇぇぇぇぇえ!!!!」


地上の様子を視認したクラーケンは海中へと潜ろうとしている、だが海中に潜ろうとしたその時…槍に付いているロープがピンッ!と張り男達とクラーケンの引っ張り合いが発生する…がクラーケンの方が強く男達はどんどん海の方へと引っ張られていく。


「だぁもう!私もあっちに加勢するからクラーケンは頼んだぞアユム!」

「わ、私も手伝います!」

「僕達も行こう、サヨ全員に加護を頼む!」

「はい!」

「…となると俺達が倒す役か」

『んーどう倒そうか』


それを見かねたリサ、そして獣人化したヒストルが男達の元に向かいダガリオ達も引っ張るのを手伝いに向かう…アユムだけが残されクラーケンを倒すのはアユムにかかっているようだ。


「おいおい綱引きは得意か?」

「舐めんなっ!」

「『我が主よ!彼らに祝福を!』」

「おぉ!?すげぇ軽くなったぞ!?何もんだ嬢ちゃん達!?」

「これなら………いや、足りねぇ…!どんだけ強ぇんだクラーケンの野郎!」


吸血鬼のリサと獣人化したヒストルの力とサヨによって全員に加護が加わって一気にクラーケンとの引っ張り合いに希望が見えてくる、だがそれでもクラーケンと拮抗しているに留まり持久戦へと突入してしまう…血管を浮かせる程に力を込めて引っ張っている男達に1時間も綱引きをする体力はなくいずれ負けてしまうのが分かりきっている。

このままではロープを手放さなければならなくなる…そう誰もが脳裏に過った瞬間、急に引っ張るロープが更に軽くなる。


「な、なんだ!?」

「……奴には槍が突き刺さっているんだな?ならもう奴は俺達の『獲物』だ!」

「てめぇら…漁業協会の漁師!?」


声が聞こえ男達が振り向くとそこにはロープを掴み引っ張り始めている逃げた筈の漁師達が居た。


「何やってんだお前ら!危ねぇって!」

「じゃかましい!海の男舐めんじゃねぇ!クラーケンが獲物になったんなら俺達の仕事だ!絶対に釣り上げてこそ漁師ってもんよ!」

「あぁ?どうなってんだ?漁業協会の会長が逃げるよう言ってたよなアミーラ?」

「言ってた筈ですが……見る限り抑えきれなかったようですね」

「それでも頭かよ…」


必死にロープを引っ張ってる漁師達の更に後ろでは頭を抱えているシーナの姿があった、集団の長であるシーナの話を聞かない漁師達が悪いのかちゃんと纏められてないシーナが悪いのか…だが結果的に漁師達の協力もありクラーケンとの綱引きは少しずつだが優勢に傾きつつあった。


「いいか!獲物との駆け引きは力任せだけじゃ駄目だ!力任せだと槍とロープが折れたり千切れる可能性が高い!」

「では…どうするのですか!?」

「いい質問だ獣人の子!さっきも言った通りこれは『駆け引き』だ!クラーケンだって無敵の生き物じゃねぇ!奴が疲れて力を緩めた時が引くタイミングだ!」

「つまり…!クラーケンが力を入れてる時は耐える時…という訳ですね!」

「その通りだ!よく分かったな!漁師の才能があるぞ!漁師なるか?!」

「わ、私はアユム様達とやる事がまだ沢山ありますので!」

「そりゃ残念だ!おいそこのボウズ!」

「え?俺ですか?」

「そうだ!お前がクラーケンを締めるんだな!?」

「ッ!は、はい!」

「さっき見えた時、奴はオクトパスとそう変わらない見た目だった!もし中身も同じなら狙うなら『目と目の間』だ!」

「目と目の間…ですか?」

「そこをぶった切れば大抵は締める事が出来る!まぁ何とかやれよ!」

「引く力が弱まったぞ!今だ!」

「よし行くぞお前ら!海人の魂燃やせぇ!せぇぇぇのぉ!!!」


ロープの僅かな引きの感覚で1人の漁師がクラーケンが疲れているのに気づき声を上げ全員が勢いよくロープを引っ張った。

その瞬間、目の前にありえない光景が広がる…海中にいたクラーケンがまるで釣り上げられたマグロのように空高く空中へと高く高く飛び上がっていた…加護によるブーストと大人数によって可能となったあまりにも現実味のない光景にアユムは目を丸くしたがハッとなり薙刀を構える。


「ヒスイ範囲頼む!」

『OK!』


目と目の間にある神経を切断する事でタコを締める事が出来る…そんな話を昔とある素潜りしていた芸人がいたのを思い出しながらアユムはその方法を考えていた、巨大なクラーケンが空中へと放り出され落下して来ており落下地点はロープを引っ張っていた漁師達やダガリオ達がいる。

このままでは押し潰される者が現れそれを守りつつクラーケンを締めなければならない、それを考え考えた末にアユムはある方法を思いつき薙刀を手首を使う事で回転させながら落下地点まで走る…薙刀を回す度に冷気が広がっていきその広がった冷気をヒスイが何処まで広げるかを決めて広げていく。


「準備はいいか?」

『もちろん!』

「よし…」


落下地点のちょうど真下、見上げると空高く飛んだクラーケンは重力に従いその身を捻らせながら落下して来る。

息を整え魔力を溜めたアユムは目を開き地面へと薙刀を突き刺し一気に魔力を流し込む。


「『氷山』!!!」

「な、なんだぁ!?」


逃げ始めようとしている漁師達の前を塞ぐように地面から分厚い氷がせり上がり天へと向かって伸びていく、そしてその氷は360度同様に囲むように伸びて1箇所に向かって集まっていき…まるで山のように…だが頂点はとても鋭く鋭利で『クラーケンがその真上にいた』


「下の皆を守るのと、そもそも暴れるクラーケンの眉間狙うなんてどっちもやるのは難しい…だから『自分でやってもらう』」


何が起きたのか視認する為に身を捻ったクラーケン…だがそれが自身の首を絞める事になるとは思いもしなかっただろう、身を捻ったクラーケンは自身の真下に氷の山があるのを見て『その鋭利な先端が自身を向いている』のに気づいたのがそれが最後の光景になった。

避ける事もできずクラーケンはその自身の体重によって氷山に自身の『眉間』を貫き重みで下へ下へと突き刺さっていく、するとクラーケンは一瞬体をビクつかせたかと思うとその色鮮やかな体の模様と色が真っ白に染まっていき……動かなくなる。


「……討伐完了」


巨大な海の伝説クラーケン、その身を真っ白に染め上げ沈黙する。

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