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27話『VS異物戦』

いつにも増して短いです

先手を仕掛けたのはアミーラだった、弓を構え矢を放つ。

飛んでいく矢は空を切り突っ込んでくる異物に当たる瞬間、薙刀の刃で弾き飛ばされ明後日の方へ飛んでいく。


「アユム、使う時は合図します」

「了解!リサ、頼んだぞ!」

「おう!」


雪に足を取られ遅れるアユムの背中からリサは飛び出し、自分のスキルで短距離の瞬間移動で雪の上を飛んでいた。

だがまだ精度が甘く真っ直ぐには飛べず左右にズレながら微調整を行う。


「ようやったもんだよ、最初は壁にぶつかってたってのに」


リサのスキル『スキップ』は実戦には向かない、本人が制御出来ておらず前に飛んだかと思うと後ろに飛びアユムと借家の窓を破壊しながら外に飛び出す事もあった。

だが短い間の特訓で大幅なズレがあるが思った方向へ飛べるようになっている。


「どりぁ!」

「『おちろォ!』」


短剣を2本腰から抜き、空中で飛びながら回転し異物へ切りかかる。

薙刀を構え異物は短剣の刃と薙刀の刃をぶつける、火花が散り力勝負になるが空中にいたリサは薙刀の振る勢いで遠くに吹き飛ばされる。


「くらえ!」


吹き飛ばされながら空中でスキルを使い顔面から雪に着地するリサを追撃しようとする異物にアユムは槍を突く。

遅れ気づいた異物は薙刀の持ち手で槍の突きをズラされ腰の横を通り抜けていく。


「『こおれ』」

「ッ!」


槍を右手で掴まれ、左手に持つ薙刀を回転させ地面に刃を向ける。

嫌な予感で槍を手放し離れる、異物は薙刀を地面に突き刺し…その周囲にキラキラと光る何かが見える。


「…ダイヤモンドダストか?」

「ぺッ!なんだそりゃ」

「昔雪山に行った時見た事あるんだ…空気中の水蒸気が凍った時にある現象」


つまりあの周囲は一気に冷やされた…という事になる、あのままアユムがいたら簡単なコールドスリープを体験出来たかもしれない。

異物は槍を放り投げ薙刀を構える。


「アユム!リサさん!」

「やっべ!下がるぞリサ!」

「急げ急げ!」


アミーラの声が聞こえ振り向くと6門の砲を浮遊させ攻撃準備をしている姿が見え、アユムとリサは雪に足を取られながら急いで異物から遠ざかる。


「『対象確認…安全装置解除、これより殲滅します』」


アユム達が離れたのを確認し、アミーラの操る砲から無数の砲撃が行われる。

雪を飛び散らせ地形を破壊するいくつもの砲撃は異物へと飛んでいき、その周辺を巻き込みながら爆発する。


「やったか!」

「リサそれ言うな絶対やってない時のだから!」

「…撃ち尽くしました」


全ての砲がアミーラの元に戻って何処かに消える、どういう原理かは分からないが収納する場所があるらしい。

雪が飛び散り地面が見える程の砲撃だったが、異物の立っている場所を中心に地面が残っており異物本体も無傷であった。


「こう何度も効いてないと自信なくしてしまいますね」

「相手が悪いだけだと思うぞ、普通なら今ので数百のモンスターが蹴散せるんだからな」


今のところアミーラの砲を対処出来ているのは異物だけである、逆に考えれば化け物じみた異物でなければアミーラの攻撃は防ぎきれないという事になる。


「で、どうする?」

「やるっきゃない、力貸してくれ2人とも」

「愚問ですね」

「死ぬ時はお前だけだ」

「ありが…ん?今見捨てた奴いた?」

「来るぞ!」


異物は薙刀を構え、とてつもない素早さでアユム達に突撃してくる。

それに反応しリサは短剣を構え2人の前に立ち薙刀の刃を受け止める。


「ぐっ!こいつなんて馬鹿力なんだよ!」

「リサ!」


足元にある雪を足ですくい上げ異物の顔に向け蹴り飛ばす。

少なくとも視野を確保してる限り目潰しは有効であると考えでの行動だった、そして効いたか確認せずそのまま回し蹴りを繰り出す。


「『グァガァアァア!』」


回し蹴りは頭部を捉えたようで鈍い音と共に異物は少し仰け反る。


「ナイス!アミーラ!」

「はい」


短剣を異物の腹に突き刺し、その勢いでリサはタックルし…その異物の背後に回ったアミーラは首を掴み腕力にものを言わせて遠くへ放り投げる。

数度バウンドしながら異物は薙刀を地面に突き刺し威力を殺しながら止まる。


「『ゆる…さ…ない…カエ…る…ダァアアァ!!!!!』」


血なのか別の何かなのか、口にあたる部分から何かを零しながら異物は叫ぶ。

異物の周囲から氷の柱が飛び出し、温度が急激に下がる。

その背中に八本の氷の棒が羽のように構成され始めその頭に小さな氷の冠が乗る。


「『カエル…ヒト…リ…は…』」


その握る薙刀におぞましい程の黒いオーラが集まり始め…その薙刀を掲げようとしてその動きは止まる。

何故ならアユム達がいた場所にはアミーラしか残っておらず残り2人が見当たらない。

左を見ても、右を見ても見当たらない。

そして上を向いた瞬間、影が異物を包む。


「さぁ、ギャンブルタイムだ」


雨を凌いだ時に使ったマントを広げ、異物から身を隠すように落下してくるアユムが異物に向かって落下してくる。

視界の端には氷の柱にぶつかっているリサがおり2人はスキップで飛んできていた。


「『ガアァアァア!!!』」


薙刀を構え、落下してくるマントの中心目掛けて薙刀を突き刺す…

だが手応えは無く、薙刀を横に振るとマントは横に飛んでいき無傷のアユムがそのまま異物の上に落下し胴体に馬乗りになりその動きを封じる。


「俺達の勝ちだ、『消滅』」


絶対に外さないゼロ距離でアユムは異物に消滅スキルを発動した。

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