閑話 フレーミイ王子の場合 上
僕には かなり小さいころからの記憶がある。
3歳の誕生日を迎えるころには、この世界が何かの物語の世界で、自分はかつては それを読んでいる側の世界に居たのだと感じていた。
前世があったから、だろうか5歳のころには、歳不相応の落ち着きのある子供になっていた。前世のことは思い出せないが、この立場、兄と姉がいての第二王子というのが気に入っていた。重大な責任も無く、にこにこと笑い、頷いていれば、悲しいことも辛いことも無く過ぎていく日々に不平不満も無く過ごせるというポジション。だから、ここで緩く生きて行こうと思っていた。
ところが、8歳の時、この世界が「虹の少女リリ」の世界であり 自分がその登場人物の一人だと分かる出来事があった。
孤児院の視察兼慰問に行った時、僕は孤児たちと”触れ合う”という名目で孤児院の庭で孤児たちが遊ぶのを眺めていた。その時、ピンクブロンドの可愛い女の子が僕に七色の花でできた花冠をかぶせてこう言った。
「大丈夫よ あたしがいるわ」
その七色の花冠とその言葉を聞いた瞬間に、僕はこの世界が「虹の少女リリ」だと確信した。
「虹の少女リリ」は、いわゆるシンデレラストーリーってやつだ。
主人公のリリは孤児院で育つが、小さいころにそれとは知らずに王子サマ(僕のことね)に出会っている。その後、リリは貴族の養女になって王立学園で王子と再会。悪役令嬢や他の生徒達のいじめにもめげずにゴールイン。
光の中にリリが投げたブーケが飛んでいる。というのが最終!シーンだったと思う。
小学生向きのマンガからアニメや小説にもなった。
あまりの人気に続編が出るらしいと言われたが 原作者と漫画家とプロデューサーの確執?とかいう大人の事情からこの作品自体が世の中から消えた。というか細々と二次創作とかがあったらしいけれど……僕はそっちは知らない。
僕には一つ上に姉がいたから、アニメはよく見てたなあ。なんだったらオープニングの歌も歌えるんだけど あれ?この歌って国家に類似してないか?
とにかく、ここは「虹リリ」の世界、そして僕はフレーミイ王子。主役の一人、これから起きる事も分っている。
ただでさえ 楽勝モードの人生が「虹リリ」の世界だと分かったら、更に人生楽勝モードに思えて来た。何しろ、僕とリリのハッピーエンドの為に作られた世界に僕はいるのだ!
12歳、僕が王立学園に入る前の年は、年の近い貴族子女たちとの親睦の為のお茶会が毎月開催された。
悪役令嬢 その1のグリーン公爵令嬢は年上だから会う事はないけれど、その2のクレナイ公爵家とその3のネイビー伯爵令嬢には会えるはずだ。そう思っていたら、なぜか二人とも同じ月のお茶会に参加して来た。
少し 時間は戻りますが フレーミイ王子も「虹リリ」の視聴者だったようです




