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4-18 糾弾後の生徒の反応は……

リリとアルの護衛のロマンスに発展しそうな会話を耳に入れながら僕達は会場の出口に向かう。


「あ あのエリザベス様が、い 嫌がらせ、なんかす するわけがない…」


園遊会で優しくされた男子生徒が勇気を振り絞って発言している。


「そうだよな 俺なんてダンス踊ってもらった時に足踏んだのに許してもらった」

「あ お前も足踏んだのか?」

「実は俺も でも優しく笑ってくれた」


卒業パーティで姉上と踊った生徒たちも同意する。こんなに大勢が姉上と踊っているなんてちょっとだけ腹立たしい……



「強き立場の王族が、公衆の面前で弱き立場の令嬢に謝罪を要求するとはいかがなものか?」


アーサーとその周りの武の生徒たちが男女問わず王子に冷たい目を向けている


「上に立つ者こそ よく考えて行動すべきですのにねえ」

「これでは あのお優しいグリーン公爵令嬢でさえ見切りをつけ……ねえ?」


グリーン公爵家に縁の有る女生徒達も扇の影から冷たい視線を向ける。

そんな 周りのざわめきを確認しながら 僕は姉上を講堂の外まで連れ出す。


「階段、足元に気を付けてね」

「大丈夫よ 子供じゃないんだから 失礼ね」

「だって いつもの制服よりも裾裁きが――」


言ってるそばから 最後の一段で裾に足を絡ませた姉上を抱き寄せる

 

「ほらね」

「ありがと」


そこから 姉上と手を繋いで門まで歩く

エスコートも好きだけど 僕はこうして姉上と手を繋いで歩くのが好きだ

今日は 指と指を絡めた恋人繋ぎ……


「ビイ?」

「すごく うれしい」


無事に 後夜祭の「糾弾劇」の主役を演じ終わったことが、姉上をその「糾弾劇」の舞台から速やかに退場させられたことが、姉上を嗤わせることも 紺の瞳に涙を湛えさせることも無かった事が、

すごく うれしい。


その一言を発して、黙ってしまった僕に、姉上は呆れたように溜息をひとつ落としてそのまま手を繋いで歩いてくれた。


正門の前では、既にネイビー伯爵家の二頭立ての馬車が待っていた。

馬車の扉の前に居たエディが恋人繋ぎの僕達に厳しい視線をおくったから、姉上が手を放そうとしたけれど 僕は気が付かないフリをして離さない。


姉上を馬車に乗せてから、座席の上に準備してあった紙の束を外で控えているエディに渡す


「これ 昨日言った2年前の春からこの前の三の月までのアルフレッド王子と僕達の行動記録。お城の父上の部下に渡してくれ。城の執務室に行けば分かるようになってるから」

「おう!」


エディがそれを受け取り、馬を走らせ城へ向かう。


 もしも、今の王子の言葉を誰かが真に受けて『エリザベスがリリに嫌がらせをしていた』と言いだしたとしても この書類が姉上とリリに接点がないことを証明してくれる。


 何といっても、正真正銘「ルバート王国 第三王子アルフレッド」の行動記録だから 嘘偽りがあるはずはない。それに本人とその護衛が今日は城に居るのだから 疑わしいと思うなら本人に確認すればいい。何事もなく過ぎれば必要がない書類だったけれど、しょうがないね。

 

 そして、書類に記載がない期間、つまりアルが居なくなってからは、学園中の学生が僕達を見守っていたのだから何十人もの証人が居るのだ。


 エディを見送り、僕が姉上の横に座ろうとすると、先に乗っていたクレアが向かい側の席を僕に差し示す。


「ビイ様は、あちらへ」


僕が渋々、姉上の向い側の席に座ると馬車は動き出した。




因果応報、情けはヒトのためならず?

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