4-14 アルと過ごせないランチタイム
三の月の終わりに、アルはルバート王国へ帰って行った。
帰国の日、僕達は王城の門の横でアルの馬車を待ち伏せして手を振った。
白い、ルバート王国の服を身に着けたアルは 王子の顔を一瞬だけ崩したけれど、すぐに王子の顔に戻って、僕達に鷹揚に手を振り返した。
*
アルが学園を去ったことによって、僕達の周辺には思いもかけないような変化が訪れた。
「予想はしていたけれど、ここまでとは思わなかったな」
「アルの学友になっている時点でビイは注目されてたんだよ」
「アル殿下の護衛って」
「優秀でしたものね」
「わたくし、護衛の力を見くびってましたわ」
フィル、リック、双子、姉上の、いつになく生徒達であふれている中庭を前にしてのセリフだ。
今日はお天気もいいから、中庭でランチを食べるのには絶好なのに、あまりの混雑ぶりに僕達は仕方なく教室に戻って来た。
毎日のように中庭でランチしているが、寒い日や暑い日や風が強い時だってあるのだから、僕達を追い出した生徒達が恨めしい、と思ったが、とりあえず、僕達は教室でランチボックスを広げる
「アルがいる時は”触らぬ王族にたたりなし”でアルに遠慮してぼく達に近づかない生徒が多かったのかな?」
フィルがポットのお茶を皆のカップに次ぎ分けてくれた。
「俺たちはあまり気づいていなかったけれど、アルの護衛達が活躍してたんだろうなあ 一度手合わせしたかったな」
リックの考えは最終的にはそこですね
「アルのガーデンパーティでも活躍してましたものね」
「エウ 茶話会よ」
「ある意味アルが防波堤になってくれていたのよね」
双子と姉上は 窓の外の青空に目をやる
「今はビイに加えて ザベスも時の人だもんね」
「どういう意味ですの?」
「なんて?」
フィルの言葉の意味がよく分からなくて 姉上と僕が聞き返す。
「だからさあ、今までは アルフレッド殿下の学友に公爵家や侯爵家を差し置いて選ばれた、伯爵令息のビイに興味と関心が集まってたでしょ?
それが あのアルのお茶会で、ザベスも注目を集めちゃったのさ。いくらアルがフレンドリーって言っても、王子の隣にたって遜色ない外見や振る舞いが出来るってやっぱりすごいんだよ、ザベスは」
「まあ!光栄ですわって言うべきなのかしらね?それとも ごめんなさい かしら?」
姉上の困ったような顔に皆少し慌てた
「俺にアルの護衛位の腕が有ればいいんだけどな」
「「そのうちに 皆さん落ち着きますわ」」
双子はそう言ったけれど、姉上の人気は衰えない。グリーン公爵令嬢が卒業して空席になった「淑女の鑑」の座に姉上が据えられそうな勢いだ。
ちなみに、学園にはもう一人「憧れの君」の座に据えられている女生徒が居て、それがビビアだ。
ビビアは公爵家食堂で食事をとるので、僕達ほど大勢の目にさらされることは無いのだろう。ちょっと羨ましい……。
そんな風に思っていたら、ビビアが僕達を公爵家食堂に誘ってくれた。
公爵家食堂ならば、人数が制限される分落ち着いて食事ができるかと思いきや、目が少ない分鋭さが半端なかった……しかも 略式ではあるがコースで食事が出て来るので、逃げ場がない。
「申し訳ないわね。こちらでもこれほどになるとは思わなかったわ。」
やっと、デザートまで行きついた時にビビアに謝られた。僕達は揃って首を横に振る。
僕らがいなければ、ビビアはもっとゆったりと食事を楽しめたのだろうから、申し訳ないのは僕達の方だ。
衆人環視の中での食事……嫌でござんす。。。
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