4-11 アルの茶話会でピンクウサギが……
「雨降ったらどうしようかと思っちゃったよ」
アルの茶話会は、学園の庭で開催されることになっていて、学園の在校生と教職員全員を招待しての大がかりなものだから雨が降ったら中止!なのだ。我儘で強引なアルでも流石に天候を自由には扱えないらしい。
幸い当日は寒くも暑くも無く、ガーデンパーティには(これはもう茶話会じゃないと思うんだ)には最適なお天気になった。流石アル!
「今日だけ、ザベス貸してね。一人でウロウロするってカッコ悪いでしょ?」
会場に着いたとたんにアルに言われて、僕はちょっと顔をしかめたけれど、YES 一択です。
嫌だけど…
リンリーン
ルバートの特産のガラスを使った小さなベルをアルが鳴らす。
澄んだ音色が響き渡り、何事かと皆の目が音の元、アルに集まってざわめきが静まる。
「今日は、みんな来てくれてありがとう。楽しんでね! 以上」
それだけ言って、アルは姉上の手を取った。おお? という小さなざわめきと キャーっという悲鳴が幾つか上がった。
姉上は僕のですからね!
僕はそれでも微笑みを張り付けて、フレーミイ王子とピンクウサギを探しながら歩く。ふとケーキのお皿を手にはしゃいでいる女学生(平民の上級生かな?)の会話が耳に入って来た。
「ねえねえ 隣国の王子様とあの方っていつも一緒にいるわよね?」
「えーとネイビー伯爵令嬢?」
「「「まあ」」」
「今日、エスコートされてるってことは?」
「「きゃあ!」」
「素敵……国境を越えた恋!」
「「「「きゃあ!!!」」」」
ああ!もう!張り付けた微笑みを落とさないようにしながら、その場を離れる。
あーあ
僕はあまり愉快とは言えない気分で、アルと姉上が腕を組んで会場を回りながら生徒たちに話しかけられたり 話しかけるのを見ている。
あ!ピンクウサギをエスコートしたフレーミイ王子に話しかけられた!
前のめりになった僕の前に突然アーサーが現れ
「そんな 顔してると令嬢に逃げられるぞ」
僕を揶揄う
「リックも言ってっけど、ビイ、姉上離れしろよ。 ほらビイに話しかけたそうな女の子けっこういるぞ」
エウとユウもすぐそばまで来ていてアーサーに加勢する
「そうよ ビイって結構 有名人なのよ」
「それなのに フィルと違って軽くないから人気あるのよ」
噂のフィルも お菓子が山盛りのお皿を持って来た。
「どういう意味? ぼく、人気無いって?そんなこと無いでしょ?」
双子がフィルに冷たい目を向ける
「フィルはもうちょっと落ち着かないとね」
「そうそう 軽すぎるって見られてるわよ?」
「えええ!!」
話している僕達の周りに少しずつ人が集まって来た。姉上を見失ったけれど、アルと一緒なら心配することはないかな。
あまり面識のない生徒たちともアルの話や、そこにある美味しいお菓子の話など、とりとめもない話をする。当たり障りのない話をする能力はとても大事な能力なんだよね。
「ヒ ヒビキ様 エ エリザベス様は、お 優しいのですね」
見知らぬ男子生徒だけれど 笑顔で頷く。
「ぼ ぼくがアルフレッド殿下に話しかけられて ど どもってしまったのに、
取りなしてくださいました。アルフレッド殿下とあ、握手もしま、しました。一生忘れません」
「それは良かったですね、姉上は綺麗なだけでなくとっても優しいんですよ」
姉上 何を言ったんだろうか? 姉上が慕われるのは嬉しいはずなのに素直に喜べない……
目だけで姉上を探していると、ピンクウサギを見つけた。ピンクウサギは両手にグラスを持って、小走りに掛けていく(淑女のスピードではないね)その先に居るのは 姉上とアル!
この距離では姉上に声さえ届かない。―― あれ?ピンクウサギに、黒服のアルの護衛が近づいて、ピンクウサギからグラスを一つ受け取った。そしてエスコート?して離れた所のテーブルでピンクウサギを解放している。ピンクウサギはグラスを一つ手に持ったまま茫然としている。
僕は笑いを噛み殺しながら、今、どこに居るのか分からない護衛に親指を立てた。
ピンクウサギがしようとしたのは 多分 定番のアレ!でしょうか?
アルの護衛が守っているのは「ワレワレの大事なアルフレッド殿下の良い思い出作り」です。邪魔をするものは全て速やかに(アルには気づけれないように)排除!!です




