4- 8 友達って……いいな
「ビビア嬢も訓練とかするの?」
僕にとってビビアは覇者のイメージだけど、制服や赤いドレスのイメージしかないから、野営する姿は想像できない。
「ビビア?ビビアはあれでも女性だからな、訓練には参加しない」
「ふーん、そうなんだ」
僕もリックもそこで黙った。二人がゴソゴソと動く気配だけがする。
「入学した頃はとにかく一日も早く騎士になりたかった。 弱い者いじめをするヤツなんて片っ端から成敗してやるって思ってたんだ。絵本の騎士の様になりたかった」
そうだだ、リックの部屋の本棚には今でも騎士が出て来る絵本が置いてあったっけ
「でもさ その弱い者いじめをするヤツの筆頭が騎士だったんだよな。
ビビアの”お出かけ”に付き合わされている内に、ビビアに気づかされた。わざとちょっと人気のない路地に入ったら、少しお金持ちの平民だと思ったんだろうな、下級騎士に絡まれたこともあるし、いかにも弱そうな平民に絡んでいる騎士も居た」
「え?大丈夫だったの?」
「ビビアの護衛が着く前に、ビビアと俺で成敗しといた」
「やっぱり、ビビア嬢も強いんだね」
赤いドレスを翻して、役者の様に剣をふるうビビアは容易に想像できた、カッコイイ!!
「それで、二年生になるころには早く騎士になって、そんな弱い者いじめをする不良騎士を諫める騎士になりたいって思うようになった。」
僕がコロっとリックの方に身体の向きを変えるのと同時にリックも身体をこちらに向けたから、二人で向かい合うようになった。近い!!っと思うけれど今更離れるのも不自然だし……リックも同じことを考えてるみたいで、二人とも不自然なほど動かない。
薄暗がりの中で、ちょっと手を動かせば触れられる近さにお互いが居るのがなんだか照れくさいような、ちょっと嬉しいような……
「コホン、えっと、ねえリック達武の一族が、ビビアの騎士って呼ばれてるの知ってる?」
多分、あのグリーン公爵令嬢をかばった 後夜祭あたりからだろう。
王子に屈せずに正論を述べて、堂々と、非難されるような事は何一つせずに場を辞したビビア達の事を誰かがそう言いだしたのだ。ビビアに従う武の家系の生徒たちの強さへの憧れと尊敬の念が込められているように僕には思える。
「ああ 知ってる。ビビアは嫌がってるけどな」
ビビアの嫌がる顔が浮かぶようだ。同時に今 リックが鼻にシワを寄せているのも想像できる。
「一年生の、僕と姉上が招かれたお茶会で、ビビア嬢、騎士の地位と名誉向上を目指したいって言ってたでしょ?」
「ああ 二年のお茶会でも言ってた」
「ビビアの騎士って呼ばれて、学園内では武の一族って憧れられているでしょ?これってビビア嬢の目標に近づいているって事だよね?」
「ああ?そうかもしれないな」
リック、本当に気が付いていなかったのかな?もしかしてリックって鈍い?
「でもビビア嬢が一人でじゃなくて、リックが相談に乗ったり協力しているから出来ているんだよね?」
「俺が?」
「うん、”それでいいよ”って言われるだけでも勇気が出るし、もし間違えても”それは違うんじゃない”って言ってくれる人が居ると思うと色んな事が出来る気がする」
僕だって、自信がない時にチラリと見た姉上やエディ、友人達が頷いてくれると自信が持てるもの
「そうかな?」
「あと、ほら分からない人に説明するのって自分が分かって無いと説明できないから嫌でも勉強するし?」
「それは俺が分からない人って事か?」
「さあ?」
「ビイ?」
「ふふふ」
「ははは」
笑いが途絶えたタイミングで 僕は向かい合ったままで、頬杖を突くようにして頭をもたげる
ブクマ 評価ありがとうございます。とても嬉しいですし、励みになります




