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4-4 ルビー侯爵家に到着です

 今日から 僕たちは三年生だ。


 女生徒は三年生になると扇の携帯が許される……まあ胸ポケットに扇を差しているのは貴族令嬢の証って風情だ。姉上も母上から進級のお祝いだと白い小ぶりの扇を頂いて携帯している。

”平等”とか言っておきながら、こんなふうに見た目でも分かるようになるのはどうなんだろう?いずれ出て行く不平等社会に向けて心の準備をしておきなさいって事なのかな?


すれ違う上級生を横目で見ながらリックを探す。

あ!リック居た。良かった一人だ、小走りでリックのそばへ行く。


「ねえ リック 二人で話がしたいんだけど……」

「込み入った話か?」

「うん ちょっと……」

「おう そうか、今日は、ビビアと約束があるから明日、うち来るか?招待状、要るか?」

「うん 頼める?」


学校では姉上と一緒に居たい(姉上に王子やピンクウサギと接点を持たせたくないから、ですからね!!)それに、アルの学友でもある僕は 学園で誰かと二人きりでで話をするのはなかなか難しい。

今もアルを姉上に頼んで(?)リックを探していた。

そのあたりを全部、理解してリックは招待状まで用意してくれると言う。流石 リック!


 こんなリックを僕は親友だと思っているし、信用しているし、大好き、なはずなのに、あの卒業パーティの夢見以来、お見舞いに来てくれたリックを見ても、学校でリックに会っても、僕の心はどこか落ち着かないのだ。


 夢の中でエリザベスに剣を振り上げたエリックは、エリザベスがザベスじゃないように、僕の友人のリックじゃない。

判っている、理解しているつもりだ。けれど夢見のエリザベスと姉上が切り離せないように、あのエリックがリックと切り離せない。


 あのエリックはランチを一緒に食べてふざけあったリ、本を貸してくれたり、僕をアーサー達から守ろうと下手な芝居をしたり、一緒に果実を食べたりしていたリックじゃない。

僕の友人のリックは決して女性に手を上げたりしないって分かっているのに、夢見のエリックと重なってしまって、リックが姉上に害をなすんじゃないかと不安が押し寄せて来る。


悩んだ挙げ句、僕は、あまり僕らしくない方法でこの自分の落ち着かなさに決着をつける方法を思いついた。二年前に「勝てば正義」「正義は勝つ」そう考えるリックに”それはオカシイ”って思ったのに、と僕は自分に呆れながらも、他に方法を思いつけなかったのだ。


***


 翌日、僕は馬でルビー侯爵家に向かいながら自分に問いかける。

僕のしようとしている事は 間違っていないのか?リックを裏切ることにならないのか?僕自身、僕のしようとしていることに納得しているのか? 

でも、考えがまとまらない、答えが出ないうちにルビー侯爵家に着いてしまった。


久しぶりのリックの部屋は相変わらず、無駄なモノが無く。本棚は剣術や兵法の本でいっぱいだ。

リックらしいなあっと呆れるような、変わらないリックに嬉しいような気がして自然に顔がほころぶ。


「ビイ お茶、飲まないか?」

「有難う」


リックと向かい合って座って リックが淹れてくれたお茶を飲む。


「あ!美味しい」

「当たり前だろ?騎士のたしなみだ」

「本当?!」

「俺はそう思う」


二人で笑いあう。


「サフラン侯爵家のお茶も美味しかったね」

「ああ アレには敵わないし、目指してもいない」

「ふふ それはそうだ、リックが目指すのは騎士だもんね。もう、来年には騎士になるの?」


ここでリックが、Yesと答えて学園を辞める決心を見せてくれれば、僕は安心するのだろうか?

学園を辞めるならリックは 王子の側の人間には決してならない。

だから、リックが学園を辞めると決めているなら、僕はその背中を押せばいい。

でも僕は、同時に、リックが一流の騎士を目指すなら学園を辞めるのは得策ではない、来年から騎士科へ進むべきだとも思っているのだ。


「俺は 一日でも早く理想の騎士になりたい、と思っている」


即決即断のリックにしては珍しく歯切れの悪いことを言う。ならば、僕は……



らしく無い事を考えているビイ君です

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