4-3 ”悪役令嬢”なんて、いません
父上がほっとしたような顔になり 実際小さく息を吐いた
「それに、ピンクウサギが僕のトラウマを刺激するという事になっているので、友人達も姉上も僕が、リリに会うことがないようにと気づかってくれたようです。」
「なるほどね…面白いところで 作り話の効果が出たんだね」
父上が苦笑して、僕も同じように笑う。瓢箪から駒?っていうヤツなのかな?
「さあ、復習だ」
父上がパンと手を打つ
「ビイが知っている エリザベスの未来は学園祭後夜祭でフレーミイ王子に糾弾されること。」
父上が 学園入学前に見せてくれた紙を広げる。
「学園祭の後夜祭でエリザベスは王子にリリへの謝罪を迫られる。が エリザベスは謝罪はしない。それどころか挑発さえしてその場を去る。ここまでが子供のころに見たビイの夢見だね。
『運命の支配者』の未来での、この事件は、今年、エリザベスが三年生の後夜祭の出来事なのだと思う。フレーミイ王子にとって最後の後夜祭だからね」
僕は頷き、ルディは表情を変えない。
「それから、ビイのこの前の夢見。舞台は卒業パーティでエリザベスは王子とエリックから乱暴される、んだよね?」
音が全くなかったけれど、エリックはエリザベスに向かって剣を振りかざしていた。
エリックがエリザベスに触れる前に僕が飛び出したから、乱暴されたわけじゃない。だから、僕は曖昧に頷くだけにとどめて置く。
「後夜祭と卒業パーティ、この二つの事件の間が約半年。『運命の支配者』の未来では後夜祭の時点でエリザベスは”悪役令嬢”になっている。
この半年でフレーミイ王子と側近候補たちは、悪役令嬢エリザベスの行動を調査し、証拠を握り証人を用意する。そして、フレーミイ王子の卒業パーティでは、エリザベスは断罪され王子とエリックから乱暴される」
「ええ、音が全くなかったので 何を言っていたのかはわからないんですけど…」
あれは、リックじゃなくて夢見の世界のエリック、そう思ってもやっぱり嫌だな。女性に暴力をふるうエリックなんて……
「ビイ以外にも 卒業パーティでの"悪役令嬢エリザベス”の断罪劇の夢見はされているんだ。そして、その断罪劇の後の事もね」
「断罪劇の後?」
父上は手を伸ばして テーブルの隅に置かれたカップを取り、口をつける。
「王子の卒業後すぐにリリは妃候補となり、エリザベスは国外追放。
ネイビー伯爵家は妃候補への攻撃を止められなかったという科で訴えられ、莫大な賠償金を要求されることになる
エリザベスがリリに危害を加えていた時点ではリリは単なる男爵令嬢なのだから、いくらなんでも重すぎる罰だと思うけれどね、
『運命の支配者』の未来ではトリアは既に亡くなっていて僕も屍のようになっているから、まだ16歳のヒビキに異議を唱える力は無く、全ての責任を負うことになる」
「僕の見たお化け屋敷もお化けの出そうな庭も、やっぱりここなんですね
誰も居ないエリザベスの部屋で窓の外をみている銀髪の男の子は、『運命の支配者』の未来を生きるヒビキ、なんですね」
父上は、そしてルディは、全部知って動いていたんだ。
「もっとも 今はトリアも僕も居るから そんなひどい事にはさせない。そもそもザベスを断罪させるつもりは毛頭ない」
父上が 僕のギュっと握りしめた両手を、あの時よりも大きくなって、固くなっている僕の手を上から包み、ほぐしてくれる。
誤字報告ありがとうございます。そして いいね ブクマ 評価もとっても嬉しいです。決戦の年ですが”姉上”は通常運転です。




