閑話 シュウマン ネイビー伯爵令息の場合 4/4
ドアの向こうは なんだか薄暗くて ユメも元気がないように見えた。
僕はドアを力いっぱい押して ドアを押さえて座る……いつかユメが僕の世界に光を入れてくれたように 今度は僕がユメの世界に光と暖かさを流し込みたい。
「ユメ 元気?」
ユメが僕の前に、膝を抱えて座る。
「うん まあまあ元気」
なんだか 年上に見えるのはユメが元気ないからなのかな?
「大丈夫?」
「うん、古い友達に会えたから 元気出てきたわ」
「古い?ユメ今 何歳?」
「何?失礼ね 年齢を聞くなんて! 花も恥じらう セブンティーン」
「しぶんていん?」
「十七歳!」
「わあ じゃあ 婚約者とかいるの?」
「は?婚約????」
「だってそろそろ、そんな年でしょ? ユメは平民なの?」
「ははは!!そっかあ そっか シュウ君の世界はそういう世界だったねえ
結婚とか貴族とかそっかあ そんな世界だってあるよねえ……………… 世界は広いなあ ははは…」
ユメは突然 笑い出して、なんだか一人で納得したようだ。
良くわからないけれど ユメはなんだか元気になったようで、良かった…のかな?
「あ そうだ!!! シュウ君の世界で、大蛇川の氾濫ってもうあった?」
「大蛇川の氾濫?」
「シュウ君、もう 王立学園に入学した?」
「ううん もうすぐ入学」
「そっか じゃあ これからの事件だね。
シュウ君が王立学園に入学後 西の町の大きな川で氾濫が起きるの 護岸工事をすれば被害は最小限に抑えられるはずだよ。 川の名前は”大蛇”覚えた?」
「もう一回言って!」
僕は 思わず前かがみになった 背中と抑えていたドアが離れるのを感じた。
ベッドの中で目が覚めた。
今の、ユメが言った事は、すごく大事なコトだ。僕は、非常用のベルを鳴らす。
直ぐに来たメイドに 父とルディを呼んでもらう
夢見帳を書こうとしていると 父とルディが来たから、二人にユメから聞いた川の氾濫の事を伝える。
眠すぎて呂律が回らない。最後は眠くて眠くてちゃんと言葉になっていたのかもわからないくらいだったけれどなんとか伝えた。
***
ミントン家や父の調査で ”大蛇”は 地図ではポール川と記載されている川だと分かり(地元の人は大蛇川と呼んでいた) 早速護岸工事を行った。
工事の終了後まもなく 何十年ぶりかという大雨が降ったが川の氾濫は無く被害は最小限に抑えられた。
この川の氾濫の予知夢も 王子の病気の予知夢も 世間に知らされることは無い。
未来を知っている一族が居ることなど知らせない方が良いのだと 父も 父の父も言っていたのだという。
王立学園に入学前にユメに会えてよかった。
学生になった僕はもう一日中眠ってユメが来るのを待っているようなことは出来ない。
ユメに川の氾濫の話を聞いてから半年後、王立学園の初めての学園祭の夜にユメが現れた。
「シュウ君 謝らないとならない事があるの。
今度 ワタシ 結婚するんだけどね。
荷物の片づけしてて「虹の少女リリ」のマンガを見つけた弟が「虹リリ」を売っちゃったの。
絶版だからすごく高く売れたって喜んでたけど……だから もうシュウ君を予言者には出来ない ゴメン!!」
ユメは手のひらをパチンを合わせて謝るけれど、僕には ユメがなぜ謝るのかがわからない。それよりも 結婚するって!!!!!
「ユメ 結婚するの!? おめでとう!!!! えっと 政略結婚とかじゃないよね?」
ユメが照れくさそうな顔で頷く
「うわあ おめでとう ますます 会えなくなっちゃいそうだけれど お幸せに!」
我ながら何を言っているのかわからない。
にほんじんも 結婚するんだね
結婚かあ!!!!!
僕は、金の髪に青い目のとても可愛らしいクラスメイトを思い浮かべて ちょっと顔を赤くした。
thanks 評価、ブクマありがとうございます!明日から最終章です。引き続き宜しくおねがいします




