3-33 誰かに乱暴に起こされたり、優しくされたりする話
ああ のどが渇いたなあ 水が飲みたい……開かない口に 一筋の水が流し込まれる。
ありがとう。感謝の言葉を言う事もできずにまた闇の中に落ちていく……そんな事が何度か繰り返されて
誰かが僕の口に指を突っ込んでこじ開けてくる。
乱暴だなあ、水が流し込まれて、半分のんで むせる。酷いなあ 誰?
やっと 片目を薄く開けると 姉上?クレア?エディ? ああ 乱暴なのはきっとエディだ。
薄く笑って目を閉じ――
「ビイ ビイ ビイ 起きなさい!! 寝ちゃ駄目よ!!」
姉上に乱暴に揺すられるのが、なんだか可笑しくて
「…姉上 レディらしく ないですよ……」
僕の口から かすれた声ながらも言葉を発する事が出来た。
ぶわっと姉上に抱きしめられて 僕も抱きしめ……たかったけれど残念ながら腕が上がらない。
エディに起こしてもらって、コップで水を飲んだら意識がはっきりしてきた。
間もなくクレアに知らされた父上と母上が部屋に飛び込んで来て、ぎゅうぎゅうと抱きしめられて苦しかった。けど、その分すごく心配をかけたのだと思い申し訳ないような、嬉しいような気持ちになる。
メイドが運んできたカートには なんだかいろいろと乗っている。
色々な色のプディングに おかゆ、デザートまで何種類も乗っているみたい。
「ビイ 何か少しでも食べて頂戴ね」
母上がボウルとスプーンを手に取り、父上が僕を抱きかかえる。
「僕に夢見の話をしたのは覚えているかい?
そのまま ビイは眠ってしまったんだよ。声をかけても全く反応が無くてね」
母上がおかゆを乗せたスプーンを僕の口に流し込む
「ルディが、夢見の後のシュウに似ているって お水だけはなんとか飲ませていたの」
「むせないようにって エディが抱きかかえてくれていたんだけれど」
姉上が僕の口元を優しく拭いてくれる。慣れた手つきがかえって恥ずかしい……
「結局、むせたら目を覚ましたんだから、あんなに大事に扱う事なかったですよね?」
やっぱり口をこじ開けたのはエディだったんだ。乱暴な事を言っているけれど目が潤んでるよって
言ってやろうと思ったけれど、瞼がまた すごく重くなってきたよ。
***
いつの間にか再び眠ってしまった僕が次に目を覚ましたのは、翌朝?だった。
今度は自分で目を覚ました僕は、自分でベッドから下りて歩いて、トイレに行った。
うん大丈夫、頭もはっきりしている――から 昨日の自分が恥ずかしい―― 体調も悪くない。
「あ ビイ様 起きられたんですね おはようございます」
小さなノックと共に返事も待たずに部屋を覗いたの部屋に入って来たのはエディだった。
「うん おはよう でいいんだよね? 卒業式はもう終わったの?」
「卒業式は一昨日終わってますよ。ザベス様も欠席なさったんですけど、ビイ様が元気になられて良かったですよ」
そうかあ、卒業式は終わったんだ。姉上の銀のドレスが見られなかった事だけは残念だなあ。
「ザベス様のドレス姿はまた学園祭にでもチャンスがあると思いますよ?今日はこのシャツでいいですか?」
エディ、僕の心を読むのは止めて欲しいな。シャツはそれでいいけどさ
シャツを受け取ろうと手を伸ばしたら、エディが僕の腕にシャツの袖を通したからビックリしてエディの顔を見てしまう。
「今日はビイ様に優しくしたい気分なんです」
エディが僕から目をそらした。
エディもずいぶんと心配してくれて 今は安心しているのかな?
ま、エディが優しくしてくれるのなんて 今日だけだろうけどね
「大丈夫だってば!朝食前の散歩も間に合うかな?」
「それは やめときましょうか? 俺まで 奥様に怒られます」
そう言っている間に メイド達が僕の朝食をワゴンで運んできた。
「え?ここで食べるの?」
「今日は ビイ様は大人しくしていてください。食べられますか?俺が”あーん”してあげますか?」
「食べられます!!」
僕は 結局ルディ、と後から来たクレアの二人に見守られて、ベッドで朝食を取ることになった。
皆、どうかしているよ?
そりゃあ 心配かけた僕が悪いんだけどさあ……
愛されてます!
私の故郷ではフーディング、お口に入れてあげる事をやしなうと言いますが、一般的でないみたいですね?




