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3-29 後夜祭を退席した話

今度は私よ とばかりにユウが話し出す


「そう思うわよね?

 私達が一番前に辿り着いたときには ピンクウサギが王子の手を握って『怖い!』とか言って、王子がその手を離さないで立っている って状況だったのよ」


リリとフレーミイ王子が手を握り合う?王子と?初対面の男爵令嬢が?


「……フレーミイの護衛って何してたのさ?」

「それで ビビア嬢がキャサリン様の方に進み出てさ、キャサリン様の横で彼女を守るように立ってたんだよ」


アルの呟きには誰も応えず フィルが話を続ける


「しばらく双方とも黙っていたんだけれど キャサリン様が溜息をついたのをきっかけに、

リックがキャサリン様をエスコートして、ビビア嬢や何人もの武の一族を従えて会場を出て行ったんだ。凄かったよ!あんなに圧があるキャサリン様 初めて見たよ な」


フィルがエウ ユウに同意を求め 二人はウンウンと大きく何回も頷く


「退場は フレーミイ殿下への抗議行動ってことかな」


僕はちょっとだけ その場にいなかったことを後悔した。


「じゃあ ボクも帰ろうっと」


アルがいつの間にか持っていたメレンゲの沢山乗ったお皿をフィルに押し付ける。


「だいたいさ、婚約者をほっておいて講堂裏でダンスしてる時点でダメだなって思ってたんだ。

 たとえ 第二王子で学生でもね」


アルが珍しく真面目な顔で言って すぐに いつもの王子スマイルに戻った。


「そういう訳で ボクは帰るけど みんなはどうする?

 もし帰るならさ、ボクの馬車すぐに来るはずだから皆を送って行こうか?」


フィルは押し付けられたメレンゲを頬張っていたけれど


「ルバート王家の馬車!ぜひご一緒させてください!!」

「「フィル!!」」

「ユウ エウも一緒に帰ろうよ。話も聞したいし、ね?」


フィルをたしなめた双子は逆にアルに誘われて顔を見合わせて、頷きあった。

僕と姉上は、リックやビビアが帰ったと聞いた時から帰るつもりになっていたから、アルの好意に甘える事にした。


アルについている護衛が指示をしたのだろうか、僕達が乗降場所に着くともうアルの馬車が待っていた。


他にも 馬車を待っている学生たちは武の一族やグリーン公爵家に連なる家の学生だろうか?

とにかく 今日のフレーミイ王子の行動に納得がいかない者達なのだろう。




「それで 他に何があったの?」


馬車に乗るなり、アルが、物珍し気にキョロキョロしていたフィルに迫る


「はい!まず 話の始まりは今日の昼間らしいです。フレデリック王子達と講堂のダンスパーティに向かったフレーミイ王子が 講堂の階段に一人で座っているピンクウサギに声をかけた。

最初、王族に声をかけられたピンクウサギは逃げ出した。なのに なぜかフレーミイ王子が追いかけて行った。」

「ああ そして講堂の裏に二人でいたって訳だね」


昼間、アルが言っていた「先客」はこの二人の事だったんだね。


「フィル?あなたそれを見たの?」

「ぼくは見てないけど、今日はフレデリック王子が婚約者つれてたでしょ?未来の王妃を一目見ようと けっこうな生徒がフレデリック王子とフレーミイ王子を見ていたんだよ。」


「わあ~ 他の生徒が見ている前で婚約者候補を放って、女生徒追いかけて行ったって事?」

「もしも、気に入らない婚約者候補であっても それはダメだよね」


アルが大袈裟に天を仰ぎ 続けた僕の言葉にその場にいた全員が頷く


「それで この後夜祭での騒動でしょ?」


フィルが言った時に オリーブ子爵邸に到着した。

馬車が止まり、フィルはとても残念そうな顔をしながら降りて行った。


再び 馬車は走り出す。


「たぶん、昼間に会った時は、自分の事を王子とは名乗っていなかったのでしょうね」

「それで ピンクウサギちゃんが驚いて ああ言ったんでしょうけど…」


エウとユウが代わるがわる話した。


「でも、王子と分かっているのに話しかけるのはマナー違反ですわね。

 キャサリン様が注意するのは当然ですわ。それなのにキャサリン様を逆にとがめるなんて…… しかも候補、とはいえ婚約者ですのよ?」


姉上が溜息をつき エウとユウも頷く


「あれが 我が国の王子かあ……」

「フレデリック王子も フレミング王女もしっかりしているから安心して」


嘆く僕の肩をアルが慰めるように叩いた。


アルの馬車がもうちょっと小ぶりだったら姉上とくっついて座れたのになあ(ビイの心の声)

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