3-24 二年生の進級祝いに、姉上と僕とリックとフィルと双子でカフェに行った話
学園入学以来 二回目の1の月が来た。
新入生の入学式の翌日に進級式があって、僕達は二年生になった。
リックはAクラス入りを果たしてクラスメイトになったし、僕だって剣術のレベル試験で上級クラス入りした。
これはエディとの作戦で左手も使えるようになったというのも大きいけれど、器用さだけでなく力でも負けないように特訓した成果と胸を張って言える位稽古した。
おかげで僕の両手は随分とゴツゴツになってしまったから姉上の手を取る時にはちょっと躊躇してしまうくらいだ。
「進級祝いに 今話題のカフェに行かない?」
街に詳しいフィルの提案で、三階席まである町のカフェに寄り道することになった。
姉上と僕も多少のお金は持っているし、少しくらいは街を歩くこともあるけれどカフェなんて初めてだ。
エウとユウは"侯爵家令嬢”にもかかわらず
「「知識は机上のみでは得られません」」
と、フィルと時々街歩きをしたり、本屋さんや図書館へ行ったりしているらしいけれど やっぱり学校帰りにカフェに寄り道は初めてらしい。
僕達は特等席(三階)に案内された。
三方に窓があるその部屋は 半円形のテーブルが幾つか、窓にくっつけるようにセットされている。お祭りが行われたりする広場が見下ろせるテーブルで 僕達はそれぞれ好きなモノを注文する。
リックは いつもの赤い葡萄ジュース。姉上と僕は初めて聞くチョコレート(甘すぎた)。
ユウエウは遠くの泉から持ってきたと言う発泡水。フィルはここのオススメだというコーヒー。
すっごくバラバラだけど
「リック 今年はよろしく」
「ビイ 頑張りましたね」
双子の言葉で僕達はそれぞれのカップを上げて乾杯する。
「なあ ユウ 今年はって何? はって?」
リックがユウに文句を言って、みんなで笑う。
窓の外に目を落とすと、沢山の人が行き来している中で 黒い学生服の学生たちはなんとなくのんびり歩いているように見える。
「学園の制服って目立つね」
「おう 特に二人以上でいると 学園の生徒だって一目瞭然だな」
僕とリックが話しているとフィルも頷きながら口をだす。
「で スカート短いと平民かなって思うんだ」
「「フィル!」」
双子に窘められるけれど 相変わらず堪えてない
「平民って普段から動きやすようにスカート短め軽めだからさ、制服の長さは動きにくいんだと思うんだ。
だから 普段の長さに寄せて短め。
それで 中途半端な長さが男爵令嬢なんだよね。
専用メイドが居るわけじゃないから長いドレスは動きにくいし着替えにくいでしょ?制服って家に帰ったら絶対に着替えるからね」
「へー ちゃんと考察しているんだな」
リックが感心したように言うと フィルが窓の外を指さす
「ほら例えばあの子たち、ピンクの髪の子、分かる?」
ピンクの髪?!
指さす先に ピンクブロンドの少女と 茶色い髪の少女が連れ立って歩いているのが見えた。
リリ?
「あら ピンクの髪なんて珍しいわね」
姉上が興味深げに窓の外を見る――だから興味をそらそうとスプーンを落とす
姉上には リリの存在さえ、知らないままで居て欲しい。
カシャーン!!!
金属のスプーンは何かが割れたかの様な派手な音を立て 僕はフロア中の注目を集める
「すみません ちょっと落としてしまって」
跳んできた店の人とフロアの人に謝る
場を和ませようと思ったのかエウがことさら明るい声を出す
「ピンクやブルー 紫の髪が珍しくない国もあるらしいですよ」
「そうなの?」
僕は興味深げに応じる
「大分 南の国で、名前なんだったかしら? ユウ覚えてる?」
「エウ しっかりしてよ エウが覚えてないんだもの 私も覚えてないわよ フィルは?」
振られたフィルがちょっと空を見て考える。
「うーん カラヤーナ かな?」
「そんな名前だった気がするわ」
「その国へ行ったら ピンク頭が標準なのか?目がちかちかしそうだな」
リックがバチバチと瞬きをするのが可笑しくて 僕達は笑った。
感謝!




