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閑話 ビイの事 エリザベス目線(もうすぐ二年生)下

熱のある義弟を庭に連れ出して拗らせた罰として わたくしは五日間のキンシンを言い渡されました。


「わたくしは悪くないあの使用人が悪い!」


いつもならそう言って暴れるところだけれど なんだかそれはビイが望まない事の様な気がしました。ですから、大人しく従いました。



ビイもキンシン中だと聞いた時は「ビイは悪くない」とちょっと抗議した(暴れた)ので、お父様と長いお話し合いをする事になりました。



閉じ込められた自室でビイの事を考えました。

隠れ場所で聞いた彼の故郷の話も思い出しました。

森があって、木の実を木から取るんだって、それから、お兄様が銀の長い髪を結んでいるのがとても綺麗だって言っていたのを思い出した時、

ビイはわたくしよりも銀の髪の兄が好きなのかしら?とまた嫉妬してしまった自分に気が付いたのです。


この感情がビイを傷つけたのでは?そして またビイを傷つけるのではないのか?

不安になったわたくしは お母さまに相談しました。


お父様とお母さまとビイの三人に嫉妬したこと、それからビイが兄の事を慕っているのを聞いてまた嫉妬してしまったこと。


話しながら泣き出してしまったわたくしはお母さまに膝に抱きあげられ、髪を撫でられました。


「ねえ ザベス、嫉妬するのは愛情を持つのと同じ感情なのよ。

大好きだから羨ましくなってしまうの。だけど、大好きって方を大切にしてね。

 嫉妬って感情にとらわれると 何が大事なのかがわからなくなってしまうのよ。

ザベスがビイを大好きならその気持ちを大切にしてね。

そうしたらビイが大好きなビイのお兄様の事も大切にできるようになるわ」


それから ギュっとわたくしを抱きしめてくれました。


キンシンの間にわたくしはビイの為に髪を結ぶためのリボンを作ることにしました。

母上と相談して決めた刺繍の図案は簡単なものだけれど 一針一針ビイへの思いを込めて刺繍したわ。 


「ビイ(あなた)が大好きよ ビイ(あなた)が大切よ 」


あの時以来、ビイの誕生日には毎年 髪を結ぶリボンを贈っているのです。



**


果樹園まで行かないうちに 二人を見つけました。


わが家には剣の稽古場はありませんから 毎日いろいろな場所で稽古をしているようです。

今日は日当たりがよいこちらにいました。

ここでしたら こちらにティーセットを用意しても……いえ 風が吹くと少し寒いですわね


剣術の稽古は 試合形式で一勝負して終わりにしていると以前聞きました。

今 ビイとエディが 向かい合って礼をしたところですから ちょうどよいタイミングですわね。


以前 見た時にはあっという間に負けていたけれど 今日はまだ負けていな――と思った時には

ビイの胸元にエディの模擬剣の切っ先が突きつけられていました。


「あーあ 惜しかった」


最後の礼をした後で ビイがくたりと座り込みました。


「ビイ様 左剣はあまり多用しない方がいいですよ。

 試合形式なら有利ですけどね 実践では左胸のガードが出来なくなるでしょ?」


エディが右手の人差し指でビイの左胸をトントンと叩くのが見えます。


「はあい。 でも左剣のお陰で上級クラスになれたんだけどなあ」


不承不承返事をするビイ


「それに 左手まで汚くなったら 女の子にもてませんしね」

「ルディ!!!また ビイ様にそんなことを言って」


いつの間にか来ていた クレアが大股でルディに迫って行きます。


模擬剣を脇に挟んで、自分の両手を見ていたビイがわたくしに気がついて立ち上がりました。


「姉上 僕の手、確かに両手とも汚いよね。ざらざらで気持ち悪いかな?

 姉上に触れる時は手袋した方がいいかな?」


大真面目に聞いて来るビイに 苦笑してしまう。

汚い、なんて思うはずないのに……確かに ビイの手は剣だこやらペンだこやらあって、もう子供の時のような小さくて柔らかい手とは大違いで、少しだけ寂しく思ったりするけれど


「手袋なんていらないわ。 あなたのその手がわたくしは愛しいのよ」


そう言ってビイの両手を握ります。


この言葉には 少しだけ嘘が有る。


愛しいのは、 ビイの手だけじゃない。わたくしはビイの全部が愛しいのです。

thanks

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