3-23 卒業式…ビビア嬢やアルとまで踊ることになるとは…
そう言いたいけれど あまりにも我儘だと言葉を飲み込む。
「ごめんなさい姉上。ぼくも疲れました。何か飲みませんか?」
姉上をエスコートして 飲み物のテーブルへ行く。
学園入学以来 姉上とちょっと手を繋ぐだけで、ルディやクレアにしかられるけど
エスコートやダンスの方がよっぽど 密着していると思うんだけど何故しかられないんだろう?
「果物も見る?」
「そうね 珍しい物もあるものね」
初めて見る果物をいくつかお皿に乗せて ピックでつまみながらフロアを眺めていると、
ダンス上級者、ドレスアップした貴族たちや王子は、入口から離れた奥の方に居て、ダンス初心者、制服の下級貴族や平民たちは、今僕達が居る入り口付近に居るのが分かる。
平等、とか言っても実際はすみ分けちゃうよなあ。
「ビビア様、ご機嫌よう」
姉上が僕の後ろを見ながら軽く礼をするので 振り返るとビビアが一年生を従えて立っていた。
「ビビア嬢 御機嫌よう」
「お二人とも 御機嫌よう。
ねえ エリザベス嬢、 わたくしたち令嬢って世間知らずになりがちだと思いません事?
せっかく学園に居るのに限られた方としか交流をしないのは勿体ないですわ ね?」
姉上に話しかけながらも引き連れている一年生に穏やかな、令嬢らしい微笑みを送っる。
「それに こちらではパートナーが不足しているようですから」
ビビアが微笑みのままで誰にともなく言う。
アルが僕の耳元に口を寄せる
「『学園に居る間に身分を超えて他の階級 他の一族とも交わりなさい。その手段として ダンスを踊る事を推奨します』って あの武の女王サマは言ってるけど、さて 分かった者はどれだけいるかな?」
ビビアの手を取っていた リックがビビアに何か言って何人かの男子生徒と女生徒にも声をかけてビビアから離れる。
武の一族の男子生徒たちが入り口付近に固まっていた女生徒たちにダンスを申し込みフロアにエスコートする。
それをみて 制服の男子生徒がドレスアップした赤毛の生徒に申し込む。
お、勇気有るな 見どころがあるんじゃないか?
流石に 武の女王ビビアに申し込みをする強者は居ないと見えるけれど……
そのビビアが 満足げに武の生徒のダンスを眺めている様子は令嬢ではなく覇者のビビアだ。
「ビイ 行ってらっしゃい」
姉上が 目でビビアを指して僕に笑いかける。
「姉上、今度こそ休んでいてね」
「さあ?」
姉上の返事に不安を感じながらも、ビビアの前に進み出てダンスを申し込む。
「ビビア嬢 踊っていただけますか?……お手柔らかに……」
「こちらこそ」
ビビアが令嬢の様に優しく微笑み 僕の手を取る。
ビビアと踊るのは初めてだけれど ヒールのせいもあって僕よりも背の高いビビアと僕のペアは多分
ビビアがリードしているように見えているだろうな
ビビア嬢と踊っていると 姉上とアルが軽やかに踊りながら僕達の横をすり抜けていく。
アルが挑戦的に僕達に微笑みかける
「挑戦をうけるなら、協力するが?」
ビビアは僕の返事は待たずに「が」と言うのと同時に ステップを変えながらアルと姉上に近づいていく。
僕は ビビアをリードするどころか、ついて行くのがやっとだ
ちょっと!! この曲ってこんなに激しいステップ無かったはずなんだけど?
曲が終わった時は ほっとしながらビビアに礼をする。
「ふふ 楽しゅうございましたわ」
「ありがとうございました」
もう十曲くらい続けて踊った気分だ。こっそり壁にもたれて休む。
「お疲れ ビビア嬢とあれだけ踊れるとは尊敬に値するなあ」
差し出された飲み物を受け取りながら声の主を見ると アーサーだ
「ついて行くのがやっとだよ…」
「いや ビイが 努力家だとよく分かったよ」
アーサーが持っている飲み物をちょっと上げるので乾杯する
「武の女王に!」
「オレの友人のビイに」
あーやっと、本心から僕を認めたかあ。一年だよ、随分とかかったね
苦笑していると 姉上とアルがやはりグラスを片手にやって来た
「姉上!」
思わず咎める様な声になる僕にアルが呆れた様な声を出す
「隣国の王子サマのお誘いだよ断れるはずないじゃん。怒るなって」
「じゃあ アルを怒ればいいのかな?」
アルを睨むと ヘラリと笑う。
「ザベスを誘えないなら……ビイが踊ってよ!」
こちらの王子サマも返事を待たずに僕と手をつなぎ、中心へ向かって歩き出す
「ボクが女性パートね?」
うわあ こちらも女性パートもビビア嬢に負けず劣らず凄い。
まるで僕のリードの様に軽やかにクルリ クルリと回るアルの華やかなダンス。
制服の男子生徒同士のダンスに 踊っている者は躓きそうになるし、周りで見ているものは口をあけている。
そして、一部の女生徒からは悲鳴?が上がる。なんの悲鳴?平民の文化なのかな?
2曲続けて踊ってやっと解放される。
さすがに、疲れたけれど、アルの満足そうな顔ったらない。
ホントに何をやらかすのかわからない自由人の王子様です。
嫌いじゃないですよ。でも学友は なかなか大変ですよ。
もっと ダンスの練習しないとなあ ホントに
初めての卒業パーティ。
みんなのおかげで とても楽しかった。
読んで頂きありがとうございます。一年生が終わりました。姉上視点の閑話を挟んで二年生のお話になります。




