3-22 卒業式…ダンスは男性が申し込まないとならないのです
卒業式が無事に終了し、午後には卒業パーティが開催された。
普段は目的によっていくつかに仕切られている講堂だけど、今は講堂の全ての部屋が開放され、
いつもの講堂とは別の場所の様だ
「ほら ビイ 音楽が始まったわよ」
今日の演奏は、プロの楽団だ。曲も簡単なモノからちょっと難しいものまでいろいろある。
最初はちょっと難しい曲が演奏されて、フレーミイ王子とグリーン公爵令嬢が踊り始めた。
全く狂いのない 予定通りのステップ、完璧と正確さを追及して それを楽しんでいるダンス
派手さはないけれど 端正で美しい。
曲の途中から 卒業生が加わり、曲が進むにつれて、下級生も加わって行く。
僕も姉上の手を取り フロアに出る。
アルや姉上との練習の成果か、それとも 学生向けにと簡単な短い曲だからか、姉上の足を踏むことなく終了した。
ホッとしていたら、そのまま 姉上はアルに連れて行かれた。
姉上に踊ってほしくない人物ナンバーワンのフレーミイ王子が再びグリーン公爵令嬢と踊っているのをグラス片手に眺めていると
「ビイ 相変わらず王子ばっか見てるのか? あっちの窓側の御令嬢誘いに行くぞ」
意外に女性に気を配るリックに窓際に連れて行かれる。
”はじめまして”の御令嬢と踊っていると アーサーが姉上と踊りながら近づいて来た。
踊りながら僕と目を合わせたアーサーが、挑戦的にニヤリと笑ったから、こっちもちょっとだけ舌をだしてベーをしたら 僕のお相手の女性が戸惑った顏をしていたし、アーサーはちゃんと僕の顔が姉上に見えるような角度にしたから 姉上に睨まれた。
流石 アーサー ダンス上級者くっ
もう一曲、他の御令嬢と踊っていたら、今度はアルが面白がって、再び姉上と踊りながら僕をあおって来るから とうとう僕はお相手の足を踏んでしまった。ゴメンナサイ
「ちょっと 僕 休憩する」
姉上とアルが談笑している所を見つけた僕が歩き出すのをリックが追いかけて来る
「ビイ、お前さ、姉上離れしろよ」
姉上離れ?よく意味が解らない、姉上と居たらダメなのか?ちょっとムカっとする。
「僕 休むから!リックはフィルに頼んで踊ればいいよ!」
「分かったよ。 でも フィルはどこに居るんだろう?」
僕が少し怒っていると分かったのか リックはフィルを探し始めた。
僕も付き合って探していると フィルは会場の入り口付近で制服の女の子と踊っていた。
制服って事は 平民か下級貴族だね。
せっかくダンスを習ったからと勇気を振り絞って参加したんだろうなあ
「ビイ、行ってきなさい。彼女達こそ踊りたいでしょう。わたくしは少し休んでいるから」
一緒にフィルを探していた姉上に促される。
姉上がそう言うなら仕方が無い、僕は制服の女の子たちと踊る。
幸い、彼女達が参加する曲は僕でも余裕を持って踊れる曲だ。
足元を見ながら慎重に踊る姿は、少し前の自分の様で踊りながら応援したくなる。
でも 彼女達にはとても会話を交わす余裕はなさそうだから彼女の頭ごしに 周りを見ながら踊る。
あれ? 姉上休んでいるんじゃなかったの?
姉上が僕よりも拙いステップの制服の男子生徒と踊っている。
あ!今 姉上、足をふまれたけれど 「だいじょうぶ」って微笑んで踊っている
大丈夫って優しい顏を誰かに向けているのを見て胸がちりりと痛んで 曲が終わると同時にすぐに女生徒を送って 姉上の所に行く。
「ビイが 帰ってこないんだもの」
謝っているような 怒っているような 拗ねているような顔
「その顔は 僕だけに見せて。大丈夫って言うのも僕にだけ言って、他の人には言わないで」




