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3-21 夢見の家系の活動停止

唇をかんだ父上は、一度 僕の視線から逃げるようにルディに視線を向ける。

ルディも難しい顏をしながらも 父上を力づけるように頷く。


「まあ 夢見の家系だって、たまには休暇が必要だしね」


父上は少し笑った。父上は辛い時にも笑うのだ。僕はその顔を見て、拳を握り締める。


「もちろんザベスの事を守るのはやめる訳じゃない。

 でも、ビイも心配なんだよ。 『運命の支配者』からしばらくは身を潜めて居て欲しい」


父上が僕の頭をポンポンと撫でる。


「ビイの周辺の事でも 思い当たる事が無いかい?

 ビイが武の家系のアーサー殿に絡まれたのだって変な話だよね? しかも 二度もだよ。

もし あの時に アーサー殿に怪我をさせていたらビイは学園を退学させられていてもおかしくなかったんだよ。


エリック殿と君が友人で、ビビアン嬢とも交友関係があった事が『運命の支配者』の計算違いだったんだろうね。


君を学園から追い出してザベスの守りを手薄にするどころか、逆に友人を増やしてザベスの守りを強固にしてしまったんだからね。


ビイをザベスから引き離すのを『運命の支配者』が望むのであれば ビイはそれだけ重要な存在なんだ。」


あれが、『運命の支配者』の差し金?

そういえば リックが「今日のアーサーは少しおかしいいつもはあんなじゃない」と言っていた。


リックが友達としてあの場に居たこと ビビアン嬢と敵対していなかったこと それから何よりも姉上が止めてくれたおかげで僕は退学しないですんだ、という事なのか?


「卒業式が終わったから しばらく僕は直営の領地へ行くつもりだ。領地の方で問題が起きたからって理由で表舞台からはしばらく引きこもる。ああ、トリアは残るから安心して」


「はい 母上が残るなら 父上は毎日帰って来そうですね」


父上がまた笑った。


『運命の支配者』、神々の中の一人と言える存在と父上は戦っている。父上にはネイビー伯爵家とそれに連なる家々や家族を守る義務がある。


父上は姉上が悪役令嬢になって断罪されたらネイビー伯爵家も没落する。という僕の夢見のことをご存知だ


だから 今表立って動いたら次は僕が、或いは他の一族の者に危険が及ぶと心配しているのだ。


今は父上に従おう。


黙ったままの僕に父上は何を思ったのだろう 


「僕は 人に命令するということは嫌いなんだ」


ええ、知っています。僕は父上に何かを命令されたことなんてありませんから。

黙って次の言葉を待つ。


「たとえ 子供でも部下でも命令なんて滅多にしない。だから、それだけ重い命令だと思って欲しい。」


父上の真直ぐな視線を僕は正面から捉える。


「ヒビキ・ネイビーに命じる。ヒビキ・ネイビーにこの世界からの退場を禁じる。」


父上が僕の握り締めた両手をつつむ。


「だから、しばらく我慢して、動かないでほしい」


「はい 僕はこの世界から退場なんてしません。大好きな家族とずっと一緒にいます」


僕は母上と同じ 最上級の微笑みで応えた。


これから何が起こるのか? 違う、何も起こさないための静観。

戦わない事が、戦いっと言う事だってあるのだ。


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