3-16 初めての学園祭
アルフレッド王子が来てから、間もなくひと月が過ぎようとしている。
僕が「学友」として指名されている以上 僕はアルと離れるわけには行かない。
だから 僕と姉上とアルの三人は 大概一緒に居る。
どこかで見ているであろう アルの護衛もアルが一人で動き回るよりはよほど仕事が楽だろうね。
アルは昼食にランチボックスを持ってくる。
だから大概、僕達――僕、姉上、エウ ユウ フィル リック――とアルは中庭で昼食をとる。
アルのランチボックスには、アルの故郷のモノだという料理がいろいろと入っている。
アルは料理人も一人つれて来ていて、お城の料理人に指導して作らせているんだって
一日一食くらいは故郷の料理を食べたいのだろうね。食材が我が国にもあって良かった。
中庭を通って食堂へ行くビビア嬢や 武の家系の一年生が声をかけてくる事もある。
銀の髪に紫の目のアルは目立つ容姿でも無いけれど、目が合えば知らない生徒でも気軽に手を振ったりするから アルフレッド王子だと気づいて近づいてきて挨拶をする生徒もいる。
おかげで 僕や姉上の周りは常に人が居る状況になっている。
もしもフレーミイ王子がどこかから姉上を見ていたとしても僕達は気が付かないから わざわざ挨拶をすることもないし、姉上が王子に関心を抱く暇もない。
それに フィルが得意げに教えてくれた。
「フレーミイ王子は今年15歳でしょ。1つ年上、現在四年生のキャサリン・グリーン公爵令嬢が、婚約者候補に決まったんだって。だからキャサリン様が卒業するまでの間は王子はキャサリン様との親交を深めるのに忙しくて他の令嬢を見る暇はない。令嬢の方も王子に近づきはしないだろう。つまり、僕達一般男子にとってこの2年間はチャンスなんだよね」
チャンス、とか言っている割にフィルは 特定の女性とは付き合わない。
人当たりが良くて 明るいフィルはAクラスだけじゃなくて Cクラスの平民にまで知り合いは居るのに
「特定のヒトねえ……そういうのは まだ いいかな? だって まだ14歳だよ!
僕は卒業後 他の国とか行ってみたいし… そうだ アル殿下 ルバートへ帰られる時にはお供させていただけませんか?」
フィルは女の子よりも アルに、というかルバート王国に興味があるらしい。しょっちゅう こんなことを言っているけれど、アルは いいとも 悪いとも言わないで笑っている。
***
そうこうするうちに学園祭の季節になった。
王立学園の学園祭は出入りの業者や 卒業生が店を出していたり、生徒が模擬店や出し物をしていたりと賑やかだ。
招待状があれば身分に関係なく誰でも入場できるから、卒業生らしき御令嬢が連れ立って歩いていたり、平民の家族が物珍し気に学園の建物を眺めていたりと様々な人の姿が見られる。
制服の学生と一緒に学内を歩いている小さい子供達や祖父母と思われる老人は 寄宿生の家族なのかもしれないね。
向うの方では、兄弟なのかな?
制服の男子生徒と少年がグルグルと追いかけっこをしている。
エウとユウ、フィルやリックも今日は家族と一緒にどこかに居るのだろうけれど見つからない。
学生の控室として使われている三階談話室の窓から見る風景はとても平和で 楽し気で 見ている僕まで嬉しくなる。
「ビイはいいの? 伯爵たちと一緒じゃなくて?」




