3-15 アル王子の”お宅拝見”
本日2話目です ご注意ください。。。
わが家の馬車になぜかアルフレッド殿――じゃなくて アルが乗っている。
(今日一日、僕がアルフレッド殿下と言う度にアルフレッド殿下に『アルでしょ』と訂正され続けた。)
下校時に姉上と僕が自分の家の馬車に乗り、扉を閉める直前にアルが無理やり乗り込んで来て、僕の隣に座ってしまった。
隣国の、とは言え王子のやる事を止める事なんて出来ない。
「大丈夫 ボクの馬車はもう返したから気にしないで」
唖然とする僕達にアルは爽やかに笑いかけた。
「殿下、当家の馬車でこのまま王城へお送りいたしますわ。」
姉上がアルに負けないくらいにこやかに言った。
「ええええ そんな冷たい事言わないでよお。 ビイの家とか部屋とか見たいなあ」
「僕の部屋?」
「うん あと、ほらボクの”学友”のビイと家族の関係とかさ知っておきたいしさ?」
貴族名鑑には僕が養子だって書いてあったと思うし、お世話係は実質決定しているし、今更家族との関係って何を知りたいの?
「承知しましたわ」
姉上がため息交じりに承諾した。
先ぶれでもあったんだろう。車寄せでは母上とルディが既に待っていた。
その母上に、そつなく挨拶する様子は流石王族だった。
「ザベスは 髪の色も目の色も母君に似ていないのだな あの方は実母でないのか?」
「いいえ 色は違いますが実の母でございます。」
母上が居なくなった途端に失礼なコトを言ったアルに姉上は母上直伝の淑女の微笑みで応じていた。
僕の部屋で、アルは本棚の本や寝室まで見て回り、始終嬉しそうな顔をしていた。
寝室だって夢見の一族だからといって特別なコトは無いし、書籍だってごく普通の13歳の学生の蔵書だと思うけれど、王子様から見たら「隣の国の一般人の同級生の部屋を見ている」感覚で面白いのかもしれない。
姉上がお茶の用意をしたクレアを従えてやって来た。
アルはお茶もお菓子も気に入ったようで、夕食に差し支えないのか心配になるくらいお菓子を食べお茶をお代わりした。
「ビイが養子でも使用人は敬意を払っているのだね よかった」
アルは誰にともなく、独り言のように言ったけれど、エディは「何様? あ王子様か?」と舌打ちしながら呟いていた。
「ビイさま、ルバートは 自由という意味だそうですね」
クレアが僕にお茶のお代わりを注ぎながら言い、エディの耳に口を寄せて「だから自由人でも我慢」と囁いた。
その言葉に、なのか行動になのか分からないけど、やっとエディは不機嫌を丸め込んだようで、顔に微笑みを乗せた。
アルの突拍子もない言動に、僕の部屋は微妙な空気に包まれていたから、王城から迎えが来て、アルを連れて帰ってくれた時は心底ほっとした。
これでやっていけるかなあ 王子の「学友」…… 前途多難、な気がする。
誤字脱字報告 ブクマ 評価 ありがとうございます。




