3-6 男爵家出身ですが、何か?
ランチは一緒に食べようとリックとも約束しているから、クラスにかかわらず、いつものメンバーが中庭でランチボックスを広げる。
学食もあるし 侯爵以上なら個室も取れるらしいけれど、侯爵から子爵に元男爵(やっぱり僕は今朝の事を気にしているらしい)までの子女が混じっている僕達のグループには中庭がちょうど良いかもしれないな。
「ビイ、朝はうちのアーサーがごめんな 普段はあんなコトしないんだけどなあ」
「うちのアーサー?」
「ああ 俺たち武の家系って小さいころから集まって 一緒に稽古したり 親たちが酒飲んでる横で子供同士はメシ食ってたり、ケンカしたりしてんからさ、家族みたいな感じ有るんだよな。
でさ なんかわかんないんだけど 俺ら武の家系の中で、 ビイなにか 誤解されてんだよ。
まあ 俺も最初は誤解してたんだけどさ、なんだか変な話になってるんだよなあ」
リックがリックにしては歯切れの悪い言い方をする。
「僕が、運の良さの上に胡坐掻いてるヤツって?」
「ごめん…」
リックが謝るって事は正解なんだな。
「なんで そうなっちゃうかなあ?」
僕は 広げたランチボックスの上に溜息を落とす。
「命がけの騎士にとって 運は重要な要素ですからね。それだけに 運が良すぎるって感じる人に、やっかみを抱いてしまう。のかもしれないわね」
「ビイの様に 幼少期によその家に行くことが、必ずしも運がいいと言えるのかどうか、とかまでは考えが及ばない。お子様だからかしらね?」
エウ、ユウが解説してくれるけど、やっかまれる方はたまったもんじゃないよ。
「しかも 偽って何だよ!」
ため息交じりに唸る。
「ビイの事知らないから、どうせ男爵風情に伯爵なんて務まらないって思ってるのさ。自分たちの事は棚に上げてさ。 あ リックごめん」
子爵令息のフィルが言うだけ言ってから 最後にリックに謝る。
「まあ 半分はホントだから 謝らなくていい」
「だめよ リック、フィルを甘やかしちゃ!」
「フィルは何か言う前に考えなさいね」
多分 いつもフィルは 双子に叱られているんだろうな。
でも、フィルは肩を竦めるだけであまり反省していなさそうだ。
僕がもう一度、はあ、とため息をつく。その僕の頭を姉上が撫でてくれる…久しぶりの感覚に気分が上向いて来るのが分かる。
「大丈夫よ ビイがネイビー伯爵家にふさわしい人間だってことは そのうちに皆わかってくるわよ」
「いや、そのうちじゃダメだ。 誤解をとくのは早い方がいい。明日の放課後にでもアーサーと武の一年生に声かけるから、ビイもちょっと顔出してくれるか?」
武の家系はせっかちだなあ……
リックが何とかしようと思ってくれるのは嬉しいけどさ
「どうするのさ?」
「まだ わかんねーけど ほっとくの良くない気がすんだよな。カンだけどな」
せっかちだけど 計画性が無いなあ 僕は苦笑しながら姉上を見る
「わたくしは構わないわよ」
一緒に行く気、満々ですね。
エウユウたちと図書室で待っていてもらおうと思っていたんだけどな、姉上も強気な人だからちょっと心配なんだけど。でも まあ リックが付いて来てくれるなら大丈夫だよね。
**
ランチを終えて、教室に戻ると共にこの計画は変更になった。
教室に着くと直ぐに ビビアンから誘いを受けたのだ。
「明日の放課後 学園内のティールームでお茶会を開催いたしますので、ぜひヒビキ殿もご参加下さいませ。突然で申し訳ないですが一時ほどですので」
リックの時も思ったけれど 武の家系 行動が早い そして 強引です。
「姉上も一緒でも構いませんか?」
「ええ 勿論、そのつもりでしたわ」
ビビアンが微笑んだ。
ありがとうございました!明日も宜しくおねがいします




