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3-4 三度目のサプライズ


僕が 父上にこんな怒りの感情を覚えたのは初めてだ。


「母上は一番 守らないとならない存在なんですよ。この前だって そう言ってましたよね?

父上は心配じゃないんですか?『運命の支配者』が母上を狙っているかも知れないのに、学園なんて!

王子も居るのに! それに リリは居ないって? 母上に調べさせたのですか?なんでそんなに危ないことをさせたのですか?!」


手が震えて、お茶がこぼれそうになり、カップをテーブルにもどす。

父上も 持っていたカップを置いた。


「ビイだってそう思うだろう?僕だってそう思ったよ、それでトリアと言い争いにまでなったんだよ」


父上が大きなため息をついた。父上と母上が言い争い?!?


「トリアはね、僕の言う事を聞こうとしないんだ……」


「あーもう、父上!しっかりして下さい どうして 父上は――」


「母上が、トリアが、 君たちよりも先に学園に行って学園の様子を探る。リリを探すって言いだしたのは 君の夢見の後、あの僕と二人で行った温泉旅行の時なんだ。」


え?あんなに前?

違う そうじゃなくて 問題は 母上がリリの事をご存知だということだ。


「ビクトリア様はクレアとは違うタイプの転生者のようなのです」


目線で父上の許しを得たルディから驚きの発言が飛び出した。


ええええええええええええ? 母上が転生者?


「はっきりと言われたわけじゃないけどね。僕がプロポーズした頃のトリアの言動からそんな気がしているんだ。

だから 僕が言わなくても、ザベスが悪役令嬢の役目を負わされそうなことや、フレーミイ王子が リリという娘に惹かれる事を知ってたんだ。

そして、『運命の支配者』が、自分に、娘を残して早世する母親という役を与えている事も知っているんだよ。」


母上は転生者で『運命の支配者』の作る未来をご存知だと?

そして その事を父上もルディも知っている?僕はもう 驚きすぎて言葉が出ない。


「その上で トリアは王立学園へ行きたいと言い出したんだ。」


父上が溜息をつく。

僕は驚きのあまり 何も言えない。


「リリも探せる 王子も見張れる、その上『運命の支配者』が一番手を出しにくい場所が学園だって、そう言うんだ。『学園で私に何かあったら、あなたは絶対に子供達を学園に近づけないでしょ?そんな事を

『運命の支配者』は望まないわ』だってさ」


父上はふざけようと 母上の声を真似しようとしたけれど それは失敗して ちっとも母上に似ていなかったし 父上の声は震えていた。


「今からでも僕達が学園に行かないことにすれば?」


僕はやっと声を絞り出す。

母上に危険な事をさせてまで学園に行く必要はあるのだろうか?


「前にも言っただろう?雨が降るって分かっているんだ、全力で傘をさしかけようって…」


「これが、母上の傘のさしかけかた、ですか?」


「僕と言い争って、僕が折れた時にトリアが『まかせて』って親指を立てた時の強くて優しい笑顔、君たちにも見せたかったなあ」


あああ もう!!! 僕はその顔を多分知っている。

僕達を守ろうとするその笑顔を容易に想像できて 視界が滲んだ。


僕達は 僕も父上も、ハンカチに顔を埋め、ルディは執務室を出て行った。


その後、ルディが持って来た濡らしたハンカチで目元を冷やしながら 少し冷めた紅茶を飲み ベリータルトを食べて目の腫れが引くのを待った。


紅茶を飲み終わる頃、優秀な執事のルディは もう一度 冷たいハンカチを持って来てくれた。

そのハンカチを目に当てて僕と父上はソファーの背もたれに頭を預けて上を向いていた。


「ビイ もしも 僕がトリアとのケンカに勝ったとして、2年間もトリアを閉じ込めておけたと思う?」


上を向いたままの父上の質問に 僕も上を向いたまま答える


「母上は何かまた とんでもない事を考えそうですね」


「そして 困ったことに 僕はトリアのやりたい事なら何でもさせたいくらい、トリアの事を愛しているんだよ」

thanks

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