表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/109

3 ひとりでごはんをたべるおとこのこの夢 と どうぶつがはたけをあらす夢

 どこか知らない家の食堂を高い所から見ていました。豪華な食堂、子供のぼくでも分かるような上質な椅子やテーブル。壁には絵がかけられています。こんなに豪華で広い部屋の大きなテーブルなのに子供が一人でご飯を食べてます。銀の髪の男の子、この前夢で見たのと同じ子だと思います。銀の髪は手入れされていて、服も王子様みたいです。でも……「寂しくないの?」ぼくがその子に声をかけようとすると、ぼくは上の方に引き上げられて、そして落とされました。


 びっくりして目を開けると、ベッドの下に転げ落ちていました。


 「おはよ 早いな?」


ベッドの上に腹ばいになった兄さまが笑いながら、床の上に転がったままのぼくの頭を前髪ごとクシャと撫でました。


「おはようございます 兄さま」


僕は起き上がって大きなアクビをしながら夢見帳に夢を記録します。


”銀のかみの男の子がひとりでごうかなしょくどうで、ごはんを食べている”


この前作ったばかりの羽のペンなのできれいに書けました。紙やインクは貴重なものなのに本家からは十分に送られてきます。『それだけ夢見は重要という事だから、どんな夢でも書き留めなさい』そう言われているから、ぼくは大したことないと思うような夢でもちゃんと書き留めておきます。ここで見る夢が、どこか王国内の遠くの誰かの命を救うことになるかもしれないのです。



 収穫祭が近づいてきました。秋は森の木の実やキノコが実って食卓にも沢山の料理が並ぶぼくの一番好きな季節です。


 薄明りの中、農場を見下ろしていました。ぼくはずいぶん高いところにいるみたいで……今は夢の中にいるって事ですね。あ、どこからか大きな動物が来ました。あああ動物が農園を荒らし始めました。大変です。大きな声を出して脅せば逃げるかもしれません。でもここが夢の中だと分かっているのに怖くて声を出すことも動くことも出来ません。

 

”大きなどうぶつが畑をあらす”


 日の光に目を覚ましたぼくは、すぐに夢見帳を書くと父さまのところに急ぎます。すぐに見てもらって何とかしてもらわないといけません。


「対策しなくちゃなあ。大きな動物というと熊か?」


夢見帳面を見た父さまは、畑を荒らされるというのに嬉しそうです。


「わかりません 大きかったです」

「イノシシよりは、熊の方が美味いんだがなあ…月は明るかったか?」

「動物が大きいって分かるくらいの明るさです」

「ビビは昼間ならイノシシと熊の違いはわかるな」

「はい もちろんです」


そうです、夢ではちょっと暗かったからなんの動物か分からなかっただけです。明るければ熊とイノシシと狸と鹿とあとウサギだって区別が付きます。

「ビビ、お前の夢見が正しければ数日のうちに肉が向こうからやって来てくれるって事だな」

え?ぼくは畑を守らないとって思ったんですけど父さまはやってくる動物を食べようって思ったみたいです。ぼくは怖くて動けなかったのに父さまにとっては食材なんですね。流石です。強くてたくましい父さまがぼくは大好きです。それから肉も大好きです。


「ビビの夢見では日付や時間が分からないのが残念だなあ。これから月はどんどん明るくなるから時期は今時分だろうし、夜か、夜明けか?」


 父さまは同じように嬉しそうなカイと二人で何やら相談して、夜になると二人で畑に出かけていきました。そして、4-5日過ぎた頃の朝、ぼくたちが起きた時には、熊の解体が終わってハンターと分け前について決めているところでした。大きな熊だったようで、毛皮も肉もたっぷり有りました。ぼくの予知夢は当たり家族みんなに褒められました。ふふふ嬉しいです。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ