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2-12 8歳になりました

トントントントン トン


「はあい!今行きます」

「ビイ!8歳のお誕生日おめでとう!!!!」


姉上が抱き着いてきました。僕はちゃんと踏みとどまります。2歩さがっちゃったけど…


「お嬢さま?」


姉上の後ろからクレアの窘なめるような声がして 姉上が振り返ります。


「クレア、ほら、あれ」


クレアの『お嬢様?』は姉上に聞えなかったようです。僕には聞えたのにねっと僕がクスリと笑った声も姉上には聞こえないようです。姉上はクレアから白と青の花束と包を受け取り


「今年も一番にビイにお祝いを言って、一番にプレゼントを渡すのは私だったわね!」


姉上の得意そうな言葉と共に僕の手に花束とプレゼントが渡されました。


「今年も一番は姉上です!ありがとうございます」

「ビイ様 おめでとうございます」


クレアもお祝いを言ってくれます。僕の事をビイ様って呼んでいいのはクレアとアリスだけです。ルディにもいいよって言ったのですが絶対にヒビキ様って呼びます。




 大きなホールケーキのロウソクを消すときの願いはいつもと一緒


「家族みんなが ずっと幸せでいますように」


もちろん 家族みんなというのは、ルディやアリスはじめネイビー家の為に働いてくれている使用人みんなの事も入ります。




 8歳というのは、地域学校へ入る年齢で『一人前の子ども』になる年です。クレシエンド王国の子供は8歳から12歳迄の地域学校で読み書き計算などを学び、その後は働くことも、国内に2つある王立学園への進学を選ぶことも出来ます。王立学園は前半3年の一般課程で終了する学生もいるし2年の専門課程も続けて学ぶ学生もいます。


 ただし、一般的に貴族の子供の場合は地域学校で勉強するくらいのことは家庭教師についてもっと幼い時に学んでしまう事が多いです。8歳の頃には領地や家の仕事や役割について学び始めないといけないからでしょう。

  僕も父上かルディが一緒の時という条件付きで執務室の出入りが許される様になりました。


「この名簿は北部 東部 南部 西部の順でまとめてあります。ヒビキ様には親戚 縁者関係を把握して頂きます」


ルディから 厚い紙の束を渡されました。父上の執務室からの持ち出しはできませんから、ここで見て覚えなくてはなりません。



「まずは 北部から覚えましょうか?」


王都から開始だと思ったのですが、北部に最初に覚えなくてはならない家があるって事です

一番大切な家はどこでしょうか?パラリと表紙をめくります。


「アイスブルー男爵家…」


うわああ―僕の胸が懐かしさでいっぱいになります。懐かしすぎて涙がでそう―アイスブルー家は確かに北部にありますが、男爵家ですし、僻地ですしなんで一番最初に? ルディが僕の心を読んだように僕の横に来ます、流石ルディです。


「ヒビキ様を育てて頂いた家ですからね 最重要だと旦那様も私も認識しております」


鼻をすすりながら頭を下げるとルディはほんの少しだけ微笑みました。


「私はあちらの書類を見なくてはなりませんので、ここでヒビキ様に付きっきりという訳にはいきません。御用があ

ればお呼びください」


ルディが他の書類棚へ行ってしまった後で、アイスブルー家の情報を僕は食い入るように読みます。イブキ兄さまは王立学園3年『騎士科予定』と書いてあるということは専門課程まで、進学が決まっているんですね。騎士姿もきっと素敵です。マリー姉さまは地域学校の最終学年です。王立学園には進学しないけれどそのまま助手として学校に残るんですね。キャリーは?特に記載がないけど5歳になっています。


 あ、ウサギの養殖の事が書いてあります。軌道に乗っている様です。アイスブルー家のことは記憶から消し去る覚悟だったのですが、大切な親戚として関わっても良いんですね

 あ…涙がこぼれちゃう、書類がよごれちゃう、ハンカチださなくっちゃ、よかったルディが向こうに行っていて、僕は書類が汚れないようにハンカチで目を覆いました。




 12の月に入って数日たった頃、ルディの息子のエディが王立学園を卒業して執事見習いとして来ました。これから僕に付いてくれるんです、執事見習いと当主見習いのペアですね。クレアと同じ十八歳です。クレアは王立学園に二年通っていますがエディとは面識は無いそうです。そして、新しい年が来たら、アリスは伯爵家の仕事から二度目の引退をすることになっています。もちろん必要があれば来てくれると言っていましたが、アリスが居なくなってしまうのは寂しいです。

 

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