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2-9 6歳の誕生日は二度目です

 11の月、ぼくは六歳の誕生日を迎えました。田舎と王都では年齢の数え方が違うので二回目の六歳のお祝いです。アイスブルーでは年取りのお祝いは新年に家族全員まとめて行っていたので生まれた日を意識したこともありませんでしたし、その日を誕生日と呼んで祝うということもありませんでした。


 王都式では昨日までは姉上は六歳ですけどぼくは五歳だったのです。そして、新年を迎えた時は歳をとらないで、次の5の月で姉上は七歳になってぼくは六歳のままなのです。ややこしいです。それから、王都では誕生日に贈り物をするんです。これはアイスブルーでも新年に年取りのお祝いで新しい物を買ったりするのと似ています。


 誕生日には朝から家族と、それから会う使用人がみんな、「お誕生日おめでとうございます!」ってお祝いを言ってくれました。姉上が「明日はヒビキの誕生日!」って あちこちで言っていたからかもしれません。


 そしてプレゼントも頂きました。父上からは右手でも左手でも使えるナイフです。柄の所が銀でヒビキ・ネイビーと名前が入っています。とても綺麗です。

 母上からはインク壺です。銀の線で蔓ブドウ描かれていて、もちろん名前も入っています。あたらしい夢見帳にこのインクを使って記録するのが楽しみです。

 姉上が緊張した顔でぼくの方を見ました。


「ヒビキに名前をプレゼントしたいんだけど?」

「名前、ですか?」


名前は生まれてすぐに神殿で、神様に頂く名前ですけど?


「これからは ビイって呼びたいんだけど、?」


姉上が上目遣いにぼくの様子を伺いながら言いました。ぼくは嬉しくて思わず両手で口を覆いました。こんな素敵な名前をくれるなんて姉上はぼくの神様かもしれません。


「ダメ? 気に入らないかしら?」

「ダメじゃないです 気に入りました!!!」

「良かった。それから、これも使ってね」


そう言って、プレゼントされたのはハンカチ、”びい””と刺繍されていました。


「ビイ」

「ビイ」

「はい!」


父上と母上に呼ばれて返事をすると 両親は笑って頷いたのですが、姉上がぷうっと頬をふくらめました。


「わたくしが一番に呼びたかったのに」

「それなら姉上、これから姉上が一番たくさん、ぼくの事をビイって呼んでください」


デザートには丸い大きなケーキが出てそこにロウソクが6本立っていました。誕生日を迎えた人が願い事を思いながら吹き消すんだそうです。『ずうっと家族みんなで幸せでいますように』そう思いながら吹き消しました。




 おやすみなさいを言って寝巻に着替えて、それから、クローゼットの引き出しから、アイスブルーから着てきた上着を引っ張り出しました。もうアイスブルーの匂いは消えてしまっていますが、ギュっと抱きしめてから引き出しの一番下の一番奥に押し込みました。


 「さようなら、ビビ」今日ぼくは王都で六歳になった。ぼくの家族はぼくをビビと呼ぶ家族じゃなくてビイと呼ぶ家族。ヒビキ・アイスブルーはもう居なくなりました。誰かに言われたからじゃなくて自分で決めました




 誕生日の翌日から家庭教師による読み書き計算や社会の勉強が始まりました。姉上と一緒にサロンで学習会をするので、とても楽しいです。もちろん、母上のマナーレッスンは引き続きあります。


本当の六歳になったのでマナー教師が必要だとルディは言ったのですが母上が「大事な息子ですもの、ビイの特性を生かした所作を身につけさせたいわ」と言ったのに納得したようです。でも「マナー違反でも時には左手を使う方が色気があるし、ビイの武器になると思うのよね」と言ったときにはちょっと顔をしかめていました。イロケとか武器とか分からないのですが分からなくてもよいと母上が言うので大丈夫です。僕はまだ、知識だって学習だってマナーだって、姉上にかないませんが、りっぱな伯爵家子息になるために頑張るのです。


 

僕の誕生日から半年すると姉上の七歳の誕生日がやって来ます。プレゼントを贈るなんてしたことが無かったのですが、姉上にはなにか僕にしか出来ない別特別なプレゼントをしたいと思い母上に相談しました。


「そうねえ ビイにしか出来ないプレゼントねえ、なにかデザインをするのはどうかしら? ビイにプレゼントしたナイフやインク壺は私たちがデザインして職人に作らせた世界で一つだけの品物なの、ビイが考えたら私が職人をさがしてあげるわ。それをザベスに送るのはどう?」

「世界に一つ、ですか?」


考えたことも無かったことです。僕へのプレゼントも世界に一つ、の物なんですね、そうです姉上からのハンカチも世界に一つです。僕から姉上にも世界に一つの何かを、うーんデスクの上に白い紙とペンを置いて考え込んでしまいました。




あれ? 僕はここに居るのにあそこに銀髪の男の子と姉上がいる。あの男の子は僕なのに

僕はここにいる?これは夢だ、久しぶりの夢見です。

 綺麗な芝生はうちの庭です。僕は大きな輪の中に入って身体でその輪を回しています。身体をゆすって落とさないようにグルグルグルグル。次は姉上の番、姉上が輪の中に入って、上手くいかなくて、三周くらいで落ちちゃいます。そして、とうとう止めてしまいました。

 もっと近くに行こう、と思ったのに目が覚めました。


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