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2-1 伯爵家の馬車の中 です

「ヒビキ様、ヒビキ様 食事に致しましょう」


揺り起こされて目が覚めました。眠ってしまっていたようです。馬車が止まるとまたルディさんが抱っこで馬車から降ろしてくれました。大きな食堂でご飯を食べるらしいです。そう言えば、まだ朝ごはんも食べていません。


「本来 御子息と食事を共にすることは無いのですが、本日はご一緒させて頂きます」


ぼくとルディさんは二人で個室でご飯を食べました。ルディさんがじっとぼくの食べ方を見ていましたので緊張しました。デザートに初めてみるお菓子がでました。姉さまにも食べさせてあげ――ダメダメ、もう姉さまとは違う家の子供なんです。


「ヒビキ様 失礼ですがテーブルマナーはまだまだですね。これではネイビー伯爵家の子息は名乗れません。マナー教師の手配を致します」


ルディさんの言い方は優しいけれど、なんだか悲しくなってしまいました。「頑張ります」って言うべきだったのでしょうけど、泣かないのがやっとでした。



 馬車に戻って、ルディさんと向かい合って座りました。


「男爵家からの養子ということで、使用人から侮られるかもしれません。男爵家や子爵家から行儀見習いを兼ねて入っている侍女もおりますからね。ヒビキ様を迎える事は当主のご希望ですからヒビキ様もお仕えすべき主人であると伝えてはありますが、まだヒビキ様には伯爵令息としての器が出来ておりません。ネイビー伯爵家の子息にふさわしくないと思う者も居るでしょう。私の方でも目は配りますが何かありましたら、不快になることがありましたら遠慮なくおっしゃって下さい」

「ルディさんも そう思うのですか?」


ぼくは本家にふさわしくないと思っているのですか?そんな気持ちが口からこぼれてしまいました。ルディさんはほんの少しだけ微笑んで首を首を振りました。


「いいえ、私自身、ヒビキ様にはネイビー家として何よりも大切な夢見の才があることをを認めております。そしてヒビキ様をお迎えすることは当主のシュウマン様のお決めになったことです。ヒビキ様にも誠心誠意お仕えいたします。ご安心ください。それから使用人に敬称をつけてはいけませんよ。侮られますからね」


ルディの言葉は難しいですけど、ぼくの味方って事ですよね。一人でも笑いかけてくれる人がいるなら頑張れます。それにぼくは、ぼくが幸せになるために伯爵家へ行くのではないのです。エリザベスを泣かせないために、あんな顔をさせない為に行くのです。



 揺り起こされて目を開けます。いつの間にかルディにもたれて眠っていたようです。


「もうすぐ、着きますよ」


窓からなんとか目だけだして外を見ると立派なゲートをくぐり、お城です!本物のお城が見えてきました。


「あれが今日からヒビキ様がお住まいになるネイビー邸ですよ」


 あれが、おうち!?驚いている間に馬車は進み、車寄せに止まりました。ドアが外から開けられ、ぼくはルディに抱かれて地面に降ろされました。お辞儀が先ですよね?しっかり頭を上げてから初めましての御挨拶です。大丈夫、なはずでしたが……緊張して顔を上げられず、目線を下げたまま深く頭を下げて、顔を上げると、黒髪に濃紺の瞳の優しそうな紳士、金髪に青い眼の綺麗なご婦人そして濃紺の髪と瞳のかわいい女の子が立っています。いつも思い出していたのと同じ瞳!でも子供です。ぼくと同じくらいの子供です。エリザベスは?混乱したぼくは挨拶の言葉を見失ってしまいました。


「おかえりなさい。わたくしずっと待っていましたのよ!」


突然、女の子が抱きついてきました。


ぼくは 1-2歩下がりながら持ちこたえようと頑張りましたけど、もう無理です。転んでしま――うところを黒髪の紳士が二人まとめて抱きとめてくれました。


「あら うらやましいわ ふふふふ」


 楽しそうな笑い声が降って来ました。ぼくは女の子に抱かれ、女の子は紳士に抱かれて、その紳士の直ぐ後ろでご婦人が笑っています。何が起きたのでしょうか?それからぼくはどうしたらよいのでしょうか?


「旦那様、落ち着いて顔合わせをされてはいかがでしょう?ティールームの方に準備が出来ております。」

「ああ、ルディのいう通りだね。 ヒビキ、ティールームへ行こう」


紳士―伯爵ですね―が微笑みながらぼくの顔を覗き込みます。

 女の子に手を引かれて家の中に一歩入ったぼくは、思わず立ち止まり天井を見上げました。見たことがある廊下 絵が沢山飾られていて……やっぱり、ここは夢で見た場所です。

 ティールームにはお茶とお菓子が用意されていました。ルディがアイスブルー家にお土産に持って来てくれた美味しい焼き菓子やぼくの大好きなベリータルトもあります。


「ヒビキ、あなたの為のお茶会なの、わたくしのオススメはマカロンよ」


女の子がテーブルの前でちょっと立ち止まります。


「ザベスとヒビキはそっちのソファに座って」


 紳士に言われるままソファに腰を下ろしたぼくはソファのあまりのフカフカさに転げ落ちそうになります。危なかった… アイスブルー家のベットよりもふかふかで、すごく気持ちいい――

「私が今日から君の父親になるシュウマン・ネイビー。こっちの綺麗な人が母親のビクトリア・ネイビー。そしてその可愛らしい子が姉のエリザベス ネイビーだよ」

伯爵が片腕に抱いているのが伯爵夫人で、ぼくの横の女の子はやっぱりエリザベスでぼくのお姉さまになるんですね。


「ヒビキです。末永くよろしくお願いします。ネイビー家のお役に立てるように頑張ります」


 ぼくは座ったままで頭を下さげて 姉さまと考えた挨拶をしました。


「ふふふ、こちらこそよろしくね。さあ、お茶をどうぞ」


伯爵夫人?ビクトリアさま?それともお母さま?そうか、お母さまは、ぼくのお母さまは、もうこの方なんですね。アイスブルーの家族のことは、忘れないといけないんです。ぼくの姉さまはマリー姉さまでなくてエリザベス様になるのです。


「ヒビキ?」

「はい」


エリザベスに呼ばれて横を向くとハンカチが差し出されています。ハンカチ?なぜ?訳がわからなくて、ハンカチをしばらく見つめていると


「どこか痛いの? だいじょうぶ?」


エリザベスが手を伸ばして、ぼくの顔を拭いて、そのハンカチをぼくに持たせます。


 「大丈夫よ。いろいろな事が一度に起きて驚いたのよね。でも大丈夫よ」


突然身体が浮いて夫人の膝の上に乗せられて抱きしめられました。大きな手がぼくの頭を撫でてくれて、それは兄さまのクシャというのとは違ったけど、ゆっくり撫でてくれる手は大きくて優しくて気持ちいいです。それからぼくの片手をお嬢様が握ってくれました。


 もう6歳なのに泣いてしまって抱っこされるなんて赤ちゃんみたいでカッコ悪いです。ぼくは涙を止めようとしたのですが止まりません。慌てて膝から降りようとすると今度は伯爵がぼくを抱き上げて立ち上がりました。



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