閑話 リリの場合 上
”第二幕 第5場 グリーン公爵令嬢の卒業パーティ”
もちろん 卒業パーティーでは ワタシは【予定】(シナリオ)通りの動きをした。
それなのに フレーミイ王子は【予定】通りには動かなかった。
グリーン公爵令嬢は婚約者候補からは外されたけれど、グリーン公爵令嬢の断罪劇は行われなかった。
【予定】通りに動かないフレーミイ王子には失望した。でも”悪役令嬢”達にはもっと失望した。
【予定】(シナリオ)通りには全く動かないのだ。
クレナイ公爵令嬢は、フレーミイ王子の婚約者候補の一人。という立場になっていない。
もう一人の悪役令嬢のネイビー伯爵令嬢はどうしたのだ?
ワタシをいじめるはずの彼女とは まだ言葉さえ交わしてさえいない。
時は過ぎていくのに、【予定】が進まない。どうしたらいいのだろう?
***
”第一幕 第1場 孤児院の前”
気が付いたら 目の前にドアがあった『ここで黙って座っていればいい』頭の中の【予定】通りだ
ドアが開いて”【予定】通り” 女性が私を迎え入れてくれた。
数年後に”【予定】通り”金髪の男の子が大勢の大人とやって来た
”【予定】通り”に行動する男の子に”【予定】通り”に私も行動した。
カチリ カチリと物事が”【予定】通り”に進んでいくのは、当たり前の事なのだが、心地よく、そして安心した。
ワタシは 頭の中に投影されるリリの動きをなぞる。
たまにセリフを忘れる者もいて心地の悪い時もあったけれど おおむね”【予定】通り”に過ぎ ワタシは男爵家の養女となった。
ヤナギ家の皆様との生活は心地よかった カチリカチリと何もかもが”【予定】通り”に進み、ワタシは王立学園に入学した。
このころから投影されるリリの動きをなぞるのが難しくなり 心地が悪い、どころか
「困惑」「当惑」という感情を覚えてしまった。
それでも フレーミイ王子は投影さえる王子とほぼ同じ動きをしたから ワタシも投影させる動きと言葉をなぞればよかったのだ。
”第二幕 第3場 王立学園の講堂の階段”
王立学園の文化祭の日 ワタシは講堂の階段に一人で座って王子を待つ。
孤児院出のワタシはマナーがなってないのでクラスに馴染めていない。だから一人ぼっちで寂しく階段に座っている ―― はずなのに やたらと赤い髪の生徒達が声をかけてくる
「一年生?なにか困っているの?」
「ご家族とはぐれたの?」
「大丈夫かい?」
うるさい! うるさい!! うるさい!!! そんなセリフは【予定】には無い。
心を空っぽにして やり過ごす。
やっと王子がやって来た グリーン公爵令嬢と一緒なのは【予定】通り
「「あれ?」」 二人のセリフが重なる。 カチリ
「もしかして オニイチャン?」
「君は みんなの家のリリ?」 カチリ
二人は駆け寄って 手を取り合う カチリ
「これからダンスパーティ会場へ行くんだ。一緒に行かない?」
「ワタシ おどれないから」
「ぼくがおしえてあげるよ」 カチリ
「キャシー 直ぐに行くから先に入っていてくれる?」 カチリ
「畏まりました」
それは 【予定】(シナリオ)と違うわ ちゃんと【予定】通りに行動してほしい
「フレーミイ殿下 その娘の方がわたくしよりも大切なのですか?」でしょ?
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