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4-25 ぶつけるのは……

今の僕と姉上みたいに 肩をぶつけるようにして座って 父上は ”計画”を教えてくれた。


「この際、『運命の支配者』のご希望通り国外追放されようと思うんだ。自分の作った未来通りになった『運命の支配者』もご満足するだろう。それに、エディ達もビイたちの子守から少し解放してあげようかと思うんだ」


「国外追放?子守って?!」


どちらも僕は気に入らなくて―― 最高の笑顔で父上に笑いかけた。


「おや?気に入らないかな?」


***



悪戯が成功した!そんな顔で笑った父上の顔を思い出しながら、姉上に今回の 国外追放=家族国外旅行の計画を説明する。


「糾弾が行われた場合は『娘に何の瑕疵も無い事は明白ですが、フレーミイ殿下と顔を合わせるのは当面は気まずいでしょうから お互いの為にしばらく距離を置こうと思います』

って言って父上は僕達を連れて国外追放、というか 家族旅行に行くし、無事に何事もなく後夜祭が終わったら 『仕事も一段落し、学園も休みに入るので私も休みを頂いて、家族旅行に行きます』って言って 家族旅行に行こうってさ」


父上は笑いながら、軽く言ったけれど、本当はずっと考えてきたことだから、そんなに軽い訳ない。

僕はエリザベスと王子の夢を最初に見てからずっとエリザベスを守りたい、救いたいって思って来たし、父上と母上は、姉上が生まれた瞬間から「悪役令嬢にはさせない」って決めて過ごして来たんだろう。


糾弾劇があっても、なくても、僕と姉上が一刻も早くクレッシェンド王国を離れられるように、計画は立てられていた。まさか、ピンクウサギや王子が追って来る、ってことはないだろうけどね。



「まぁ!!お父様ったら!!!」


姉上は怒ったような 呆れたような声で言って、少しお行儀悪く、背もたれに身体を預け、目をつぶっている。

ほら、まただ!難しい数理の問題を考えている姉上を思い出してしまう。でも、数理の問題と違って、この問題には答えは無い。ただ、姉上は悪役令嬢にはなっていない、王子からも断罪されていないし、追放もされていない。という事実があるだけだ。


その事実を作り出すために、父上や母上 クレアやルディ そして僕が長い間 試行錯誤して来た。

姉上はそれを知らないし、知らなくてもいいよ。

あったかも知れない未来なんて どうでもいいよ。


ふと 視線を感じて窓の外に目をやると、エディの前に横乗りで乗ったクレアが僕達の方を見ている。その視線は怒っているわけでは無くて、むしろ心配しているようだ。


大丈夫だよ、クレア。

姉上は自分の与えられた役が「悪役令嬢」だったなんて気にしてないよ、もう終わっちゃったことだしね


僕は窓から少し身を乗り出して クレアとエディに親指を立てて見せた。

そして クレアにも聞こえるような声で言う。


「ねえ 姉上、この家族旅行の間、クレアとエディは別行動なんだよ。」


「子守から解放って、ことかしら?」


「もうすぐ、二人は結婚するでしょ?だから その記念に二人でルパートを旅行するんだよ」


「まあ!素敵」


姉上が顔を輝かせて クレア達の方を振り向いて、それを見たクレアが姉上の視線を避けるように顔を伏せた。僕は声を潜めて、姉上の耳元に口を近づける。


「僕と姉上だって、その間は二人きりなんだよ?」


正確には使用人が居るんだろうけれど、多分、クレアやエディ程はうるさくないと思うんだ。


「え?何?ビイ?」


僕達はあと少しでルバートに入る。ルパートって自由の国なんでしょ? 姉上は『運命の支配者』の未来から解き放たれて、もう自由になったんだよね?


「だからね――」


僕は嬉しさが抑えられなくて、僕の言葉をもう一度聞こうと振り向いた姉上を抱きしめて その口元に事故の様な、ぶつけるようなキスをした。



「え?」


そのまま 姉上の肩に顔を埋めてしまった僕の頭の上に姉上の戸惑ったような声が降って来て

次は、沈黙が降って来た。





ありがとうございます!

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