4-24 姉上、国外追放です
仕方なさそうにエディは返事をして僕の方には怖い顔を向ける
「お二人を信用しますけどね、俺たちは、窓の、すぐ横を並走します。クレアがずっと お二人を見守りますからね。カーテンは、閉めないで下さいね。約束です。」
一言、一言を区切りながら”お二人”って言いながら主に僕の方を見て、言い聞かせるように言う。
「了解!もちろん約束するし、守るよ」
これで クレアが口止めされているようなコト(なんだかは分からないけれど)を僕が姉上に言ってしまっても、クレアに罪は無い。それに僕、さっきは、ちゃんとエディとクレアの信用に応えたよね?
「約束を破った場合は 奥様に言いつけますからね」
エディが僕の心を読んだかのように念を押して、クレアを降ろし馬車のドアを閉めた。
「エディ、すごい、手綱さばき上手だね!」
エディは馬車の方を向いて横座りになっているクレアを乗せながらも、馬車の窓の真横を並走している。僕が窓を開けて声をかけると、一層馬を寄せて来たけれど、蹄や車輪の音が邪魔して聞こえないみたい。
「エディ 凄いね!!」
それだけ、叫んで窓から首を引っ込めた。
「街から離れる程、道が悪くなるのね」
確かに、道が悪くなったらしく、車輪の音が大きくなった気がする。姉上の言葉も聞き取りにくいから
(ちょっと嘘だけど)姉上の横にピッタリとくっついて座る。
「なあに?姉上?よく聞こえない?」
エディとクレアの目が光ったような気がしないでもないけれど、こうしないと会話ができないからね、しょうがないよね?
「そうだ、今、向かっているのは、ルバート王国なんだよ」
僕はいつもよりも少し大き目な声で言ってから、姉上の口元に耳を寄せる。
「アル殿下はご招待して下さっていたけれど、ずいぶん急に決めたのね?」
姉上の声と息が耳をくすぐって、ドキドキ?なのかフワフワなのか?不思議な気持ちになって、おまけに胸がギュっとなる。その気持ちを押さえて今度は僕が姉上の耳元に口を近づける。
「実はね、夢見では エリザベスの悲劇はこの糾弾劇で終わりじゃなくて むしろ 始まりなんだ」
「始まり?」
姉上が不審げな声を出す。また 僕は姉上の耳元に口を寄せる。
「そう 夢見のフレーミイ王子はこの後夜祭の後 エリザベスがリリに対して危害を加えたり、嫌がらせをしたという証拠を握ったり、証人を用意したりして、自分の卒業式のパーティでエリザベスを断罪するんだ」
「断罪?」
「うん、エリザベスは国外追放される。二度とフレーミイ王子やリリの前に現れないようにね」
「15歳の女生徒を国外追放?」
姉上は眉をしかめて、気に入らないという顔をする。その上ネイビー伯爵家は莫大な賠償金を請求されると言ったら、姉上はどんな顔をするだろう。
「姉上、予知夢のエリザベスやフレーミイ王子ですからね?」
「それでも 気分は良くないわ。しかも我が一族の夢見でしょ?」
夢見の伯爵家の夢見は当たってほしいというプライドはあるけれど、悪い夢見は当たってほしくない。「悪い夢ほど価値があるってどういう事なんだろう」って僕も幼いころに思ったな。
僕は苦笑いする。
「父上も、我が一族の夢見は未来を予見しているって証明したいとも思ったみたい」
学園祭の少し前、ティールームでソファに埋もれている僕に、通りかかった父上が、悪戯を企んている顔で教えてくれた”ちょっと考えている事”は 姉上の国外追放だった。
今の僕と姉上みたいに 肩をぶつけるようにして座って、父上は ”計画”を教えてくれたのだ。
悪役令嬢と言えば、やっぱり 国外追放! でしょうか?




