4-23 姉上の疑問を一つ一つ
「同じように 父上と母上、それから僕も思っていたんだ。姉上を『悪役令嬢』になんてさせないって」
クレアの事は伏せておく、多分、クレアもその方がいいだろうから……
「だから、僕達も姉上を王子やピンクウサギと可能な限り接触させないようにして来たんだ」
僕の言葉に姉上が ふふっと笑う
「伯爵令嬢としては 王家とつながりを持つチャンスだったんでしょうけど、弟や父上がそれを阻んだのだったら 仕方ないわよね」
姉上の気持ちじゃなくて、伯爵家のメリットを出してきたくらいだから、姉上の気持ちが王子にないのは明白だ
「今日の後夜祭も何事もなく過ぎる事を期待していたけれど、そうはならなかった。だから、僕が行動を起こして、姉上を連れ出したんだ」
「ビイは夢見ではどうしていたの?」
僕と姉上が不仲だったことは言いたくない。でも嘘はつかない
「僕は、夢見には登場していないんだ」
「登場していない?ビイはここに居るのに?」
「そう、運命の神は、僕の事は忘れてたみたいだから、それを利用させてもらったんだ」
僕の夢見では 糾弾の場面に僕は居ない。
でも、夢見の僕が姉上と不仲で、居ないような存在だったから、こうして姉上を助ける事が出来たのかもしれない。
「夢見の糾弾劇が実際に起きちゃったときの為にうちの馬車は控えていた。 あの書類をアルがどうして僕に貸してくれたのかは分からないけど、糾弾劇が起きた以上、使わせてもらうために、エディがお城に届けた。姉上がピンクウサギを知らないことや 関わり合いになったことがないって証拠になるからね」
「アルは なんだか不思議な方ね?」
「そうだね アルや アルの護衛のお陰で、運命の神のシナリオは随分と狂っちゃったんじゃないかな?」
「フレーミイ王子とピンクウサギじゃなくて、ピンクウサギとアルの護衛のロマンスになったり?」
「うーん それは実際には無いかな?」
ふふふ と二人で笑いあう。その軽い雰囲気に乗じて僕は姉上の両手を僕の手で包む。
「おーい、そろそろ出発しませんか?」
外からエディの声がする。あーあ 良い所だったのにな。もしかしてエディ見てたのかな?
僕はせっかくだから、姉上の手にキスをして立ちあがる。
もう少し、二人の秘密の話をしたいのだけれど、確かにもう出発をしないといけない頃合いだ。
暗くなってから 国境を超えるのは感心しないし、父上達も待っているからね。
「そうだね、エディ、出発の支度をして!」
「りょーかい!!」
クレアがだいぶ小さくなったピクニックシートの包を持って、馬車に戻って来た。
「それで、今、エディやクレアが居る事とわたくし達がこれからどこへ行くのかの説明は?それも夢見が関係あるのかしら?」
姉上の言葉、多分【夢見】という言葉にに反応して、クレアが僕の方に珍しく助けを求めるような目を向けた。
クレアと父上やルディの間にどんな約束が交わされているのかを僕は知らない。ずっと前、クレアが転生者だって知った時はクレアが解雇されようが知ったことじゃなかったけれど、クレアが僕にとっても掛け替えのない存在になっている今はそうはいかない。
エディの婚約者でもあるしね。
「ねえクレア、もうちょっとの間だけ、エディとタンデムするってどう?婚約者なんだしさ?」
つまりは、もう少しだけ僕と姉上の二人で話をさせて欲しいって提案だ。
「あら 素敵だわ!!」
僕の揶揄うような言葉に姉上が賛同して、窓から顔を出してエディを呼んだ。
「エディ!せっかく王都を離れたんだから、恋人らしくクレアと一緒に馬に乗りなさいな」
流石姉上、王都を離れたことを把握しているし、それを利用してエディに命令している……王都なんて目立つところだったら、絶対にクレアはエディと一緒に馬になんて乗りそうもないものね。
エディは 姉上、僕、クレアっと順番に見回して、眉間にしわを寄せて、………これは迷ってる顔だね。
「ザベス様、それは命令ですか?」
「ええ!わたくしの大事なクレアを落としたりしたら、承知しませんわよ」
姉上がいつの間にか取り出した 扇で顔を半分隠してちょっとエディを睨んでみせる。
「承知いたしました」
渋々エディは返事をして僕の方には怖い顔を向ける
お読みいただきありがとうございました。夜道は危ないですからね、安全運転でお願いします。トリアさんのことも有りますからね……




