俺の世界が終わったというプロローグ
先のことなんて考えずに書いてしまった。
とりあえず、脳内に浮かんだものを書いたって感じで……
ある日、世界は震撼した。
王都から少し離れた場所にある農業村。
そこは畑を耕しては農作物を王都に売りに行く。衣食住のうちで〝食〟の役割を果たす大事な場所だ。
小さい頃、俺はそこで生まれ育った。
日が昇っている内は外で畑の手伝いをして、時間が余れば友人たちと走り回って遊んでいた。
毎日健康的な食事を取って体は順調に育ち〈成人の儀〉が行われる十五になるまでには体がしっかりと造られていたと言えるだろう。
だからこそ村の皆には期待されていた。
お前は〝戦闘職〟になるだろう、と。
村の子供たちは少なくとも百人はいた。
その中で〈成人の儀〉を行ったのは――――何人だったっけな……。
少なくとも十人以上はいたはず。
皆で農業村にある小さな教会に集まって神託によって決められる〝職業〟を楽しみに期待していると、一人のシスターがやって来て神のお告げを代弁する。
「騎士」
「踊り子」
「剣士」
「武闘家」
「魔術師」
様々な職業を一人一人に告げている中、問題は起こった。
戦闘職になるだろうと期待されていた俺が檀上にあがり、両手を合わせて祈りの状態に入るとお告げを読み上げるシスターがあからさまに動揺したのだ。
この時の俺は喜んだものだ。
もしかしたら〝勇者〟や〝英雄〟などと言った最前線の職業にでもなったのかと思ったから。
――――まぁ、想像の斜め上どころか想像も出来ない方向にいっちまったけど……。
「〝聖女〟」
もう聞こえた瞬間に祈りのポーズのまま固まったよ。
なんなら何回もシスターと目があったよ。
「う、嘘ですよね?」
俺はあの時のシスターの声は生涯忘れることはないだろう。
「し……神託に嘘偽りはありえません。貴方は〝聖女〟となりました」
喜ぶ用意をしていた俺に石化の呪いをかけた、あの声を。
俺はあの時の周りの反応も生涯忘れることはないだろう。
(((え? お前って男だよね?)))
言葉にしてないけど、しっかりと伝わってたよ。
突き刺さる複数の視線を受け止めた自分の背中を撫で回してやりたいと思ったね。あれは精神にダメージを与えるタイプの技だ。
まだ武器で攻撃されるほうが良かったよ。防げるし。
「では、神託を続けます。貴方は私と王都に来て貰います――――カグラ、いえ〝聖女〟カグラ様」