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その日の夜汽車

作者: 悠蓉

 汽笛の音が届くと、列車はがたがたと揺れながら走り出した。ぼんやりとした照明で薄暗い車内。

 車掌が来た。向かいに座った男の切符を見てちょっと驚いた顔をして、でもすぐに何でもないような顔で行ってしまった。




 どこまで行くの?


――遠い遠いところさ


 何しに行くの?


――ある人に会いに行くのさ


 どんな人?


――大事な大事な人さ。今日は特別な日だから会いに行くのさ


 特別な日?


――うん、特別な日だ。そうだ、何か願いごとはないかい? いや、何でもいいよ。ここに書いてこっちにつるしておきなさい。きっとかなうよ


 ここにつるすだけでかなうの?


――もちろん、君が本気でかなってほしいと思えばかなうさ。それは私と同じだから。ああ、もう下りないと





 それだけ言うと男は出て行ってしまった。ふと自分の手を見ると、いつの間にか細長い紙と笹を握りしめている。

 窓から外を見上げると、天の川には大きな星かひとつ輝いていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 銀河鉄道の夜みたいで、すてきですね。
2019/11/25 21:06 退会済み
管理
[良い点] 彦星が会いに行くんですね! 夜汽車というのはロマンティックだなぁ。
[良い点] 叙述トリックぽさのある不思議な出来事。優しいエンド。 [気になる点] 夢の光景か、それとも現実の不思議な体験だったのか判断がつかない。 [一言] 男の顔はどんなだったのでしょう。へのへのも…
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