表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

囚人

作者: 冥月 霜華

不快になる可能性があります。

合わないと感じられたら即ブラウザバックをお願い致します。

何が書かれていても平気だという方のみ、お進み下さい。

読了前後の苦情は対応致しませんので、ご了承願います。

 私は「震災」という言葉に囚われている。

 何をするにもきっかけは「震災だった」と答え、「復興の為に」「前に進む為に」と微笑み、皆はそれを「素晴らしい」と持て囃す世界に。


 ああ、もううんざりだ


 そんな言葉を吐けば、皆が「人の痛みを知らぬ愚か者!」と怒り、罵声を浴びせる。

 皆はそれを「正義」「当然」「当たり前」と、罵声を浴びせる事を疑問にも思わない。


 忘れることは罪ですか?


 この問いに「是」と答える事に、人々は何の疑問も感じない。

「忘れることは罪なのだ」と、忘れたいと願う者を断罪する。

 そのくせ、その時間を抱きしめたままの者に「辛い感情を抱きつづけてはいけない」と、前を向けと命じる。


 なんて矛盾だ


 口にできないまま、延々と胸の奥で燻るこの感情はなんと言う? 

 なんと名付ければ良い?

 前を向く為にあの日を忘れる事を否とし、あの日を忘れず前を向けない者も否とする。 

 自分達の都合の良い「被災者」「復興者」の姿を求め、作り上げ、持て囃したその先は?


 何を持って「復興」か

 何を持って「忘却」か


 忘れぬよう、忘れられぬよう伝え続ける事だけが是か。

 忘れる事を一方的に否と断じる事が是か。

 前を向く為に忘れる事は否か。


 何かを新たに始めなければ「前を向いた」という事にならないのか


 この問に返ってくる答えは「否」

 ならば、皆が持て囃すのは何故なのか


「震災を機に」


 この言葉がなければ、新たに何かを始めた人々は持て囃されないのか

 ならば、それは果たして――


 ああ、今日もどこかから「震災を機に」「復興の為に」そんな言葉が聞こえてくる。


「素晴らしい」と手を叩けない私は……

「頑張って!」と声援を送れない私は……

「もういいよ」と目を逸してしまう私は……


 一体いつまで「震災」という言葉に囚われ続ければ良いのだろう


最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。

前書き等に書かせていただいている通り、苦情は受け付けておりませんのでご了承願います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ