第2話 コモンかよ
僕は授職所で受付を済ませた。
色々と準備があるからと、30分くらい待っててくださいと言われた。
「エヴェナ」
「何?」
「エヴェナって職業とかに詳しいけど、まさか冒険者なの?」
「うん、そうだよ。家で色々とあって出てきたんだけど、お金がなくてやばかったからしょうがなくついたんだ」
「そうなんだ、ってことはエヴェナって職業についてるの?」
「うん。私の家、結構裕福で小さい頃についたんだ。あっ、職業の説明してなかったよね」
そういえば何も聞かずここまできたな。聞いといたほうが良いかな。
「されてないよ。教えてくれる?」
「もちろん。じゃあ、一から説明していくね。まず、職業ってその人にどれだけあっているかとか素質とかで決まるって言ったよね?でも、素質って言っても大体の人が魔術師なんだよ。」
「大体ってどのくらい?」
「職業についている人の約95%くらいっていう調査結果が出ているよ。」
「そんなに⁉︎残りの5%は?」
「残りの5%はクラシカルプロフェッションって言って特別な職業なんだ。すごい強いんだよ。ちなみに、クラシカルプロフェッションはCPって略されることが多いよ」
僕はどうなんだろう。
異世界転移ものだと超強いわざとか持っているもんな。
僕もそんな資質があったりして。
エヴェナは何の職業についてるんだろう?
まさかクラシカルプロフェッションだったりしてな。
「ねー、何考えてるの?もしかして私の職業?しょうがないな、そんなに言うなら教えてあげよう。私の職業はドラゴン使いだよ。CPだよ。すごいでしょ」
まさか本当にCPだったとは…
だが、エヴェナよ。
僕はこの世界に転生してきた身、僕もCPにつくときまっている。しかも、さぞかし強いのにな。
ははははは 笑いが止まらないぜ。
「何笑ってんの?」
無意識に顔にも出ていたようだ。
「いや、おかしくって。僕もCPにつくのに、そんなに自慢しているエヴェナがかわいそうで」
エヴェナの顔がみるみる赤くなっていった。
「何を根拠に行ってるの?なれる確率はたったの5%よ。後で恥かいても知らないからね」
「ごめん、そんなに怒るなんて思わなくて。でも、恥はかかないから大丈夫。なんてったて異世界から来たからね」
エヴェナはまだ言っているのかという目でこっちを見てきた。
なんかエヴェナの考えていることが目を見てわかるようになって来た。
「黒那さーん」
奥にあるドアの方から呼ばれた。
僕を呼んだのは、授職所のスタッフさんだった。
どうやら準備が終わったらしい。
「もう30分たったのか。じゃあエヴェナ、行ってくる」
「うん。せいぜい頑張って」
僕はスタッフのあとについていき、中央に球体の石っぽいものが置いてある暖炉の光だけの薄暗い部屋に入った。
「では、黒那さん。私がこの部屋から出て行ったらこの石をさわってください。そうしたら、職業につけます。さわってから少しすると上から職業が書かれた紙が落ちてくるので。最初に使えるスキルが書かれている紙は部屋を出て行ったところにある木の箱の中に入っているので。では」
スタッフさんはそう言って部屋から出て行った。
僕は言われたとうりに石にさわった。
石から七色のまばゆい光が発しられた。
僕は光に包まれた。
しばらくして、上から紙がヒラヒラと落ちてきた。
そこには魔術師と書いてあった。
「おい!」
と、思わず口に出しながら素早く暖炉に紙を捨てた。
バカだった。
期待していた自分がバカだった。
僕はどうせ異世界でもその他大勢の1人なんだ。
僕はショボショボとスキルが書いてある紙を取り、エヴェナがいる待合室に向かった。
この時、黒那は見ていなかった。
魔術師の前にあった"世界の破滅し"という言葉を。
しっかりと見ていればこの先の未来、今よりも楽して暮らせたかもしれない。
4月3日
いろんなとこ直しました。