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元令嬢、支部長を嘲る

今まで何処か支部長を嘲るようなそんな視線を向けていた側近たち。

だが、今は彼らの顔は支部長の言葉に強張っていた。

当たり前だろう。

確かに今まで自分達を良いようにして来た支部長はラミスに悪事を暴かれ、支部長はもう社会的に復帰することは出来ないだろう。


だが、それでも未だ自分達の悪夢は終わっていのだ。


「ははっ!そうだ!私が捕らえられれば人質は死ぬことになるぞ!」


そしてその側近たちの顔に浮かんだ表情に支部長は笑みを顔に浮かべる。

ラミスと側近たち、普通に考えて数秒持ってくれるか程度の実力差ではあるが、だがラミスの性格からして無理やり戦わされているような人間に対して無理やり抑えるような動きは出ないだろう。

それに側近たちは支部長がどんな性格かを知っている。

だから、捕らえられれば支部長の命を受けた人間が人質を殺すというのは本当であることを分かっている。

だからこそ、例え相手に殺されることになったとしても命懸けで暴れてくれるだろう。


そしてそれだけの時間があれば、自分は逃げ切れるとそう支部長は判断する。

確かに支部長の座を失うのは惜しい。

だが、だからと言って命と天秤にかけた場合、どちらに向くかなんて決まっている。


「私が逃げるまで、時間を稼げ!」


だがら支部長はそう叫んでその場を離れようとする。

恐らく自分がこの場を去ろうとすれば直ぐさま戦闘が始まるはずで……


「えっ?」


だが、次の瞬間支部長は思わず間抜けな声を漏らした。


なぜなら、逃げようとする自分に対して一切ラミスが動こうとしなかったのだ。

そしてその瞬間、支部長は悟る。

つまり自分がとった人質、それは想定外のとても大きな効果を相手に与えていることを。


「ふははっ!」


そして次の瞬間、嗜虐的な歓喜が支部長の顔に浮かんだ。








◇◆◇








「いやぁ、本当に貴女は優しい人ですな。本当に優しいそんな人でよかった」


逃げようとするそぶりを見せても一切動くことのない私に驚愕に顔を染めた支部長。

だが突然笑い出して、次の瞬間そんな風に和やかに話し始めた。


「人質を殺されたくなければここで知ったことを全て忘れなさい!」


そして、次に発せられた言葉でようやくラミスは支部長が何を考えていたのかを悟る。

つまり、ラミスが人質を意識して動けないくなったのだと支部長は判断したのだと。


「それだけじゃない。私の配下に貴女には入りませんか?いや、入れ、で良いのか!くははっ!本当に愚かだな!」


「はぁ……」


そして、突然生き生きとし始めた支部長にラミスが抱いた感情、それは呆れだった。

確かに人質に関して全く何も感じずにラミスが捨てられるかと聞かれれば否だろう。

だがこんな場面で大して親しくもない人間を救おうと思えるほどラミスは善人ではない。

そんな善人は戦場で英雄と呼ばれる存在にはならない。

つまりラミスが今動かない理由、それは決して人質が理由ではないのだ。


「そうだ!その身体で奉仕してもらおうか!そんな身体を持って男には飢えてるのだろう!」


だが、ラミスが呆れの感情を覚えてため息を漏らしたことなどには全く気づかずそう支部長は言葉を重ねる。


「黙りなさい」


「っ!」


そして聞くに耐えない、そう顔をしかめたラミスはそう鋭く支部長に吐き捨てた。

流石にラミスの恐ろしさをみにしみて分かっていたのか、吐き捨てられ、言葉を止める。


「本当に愚かですわね。よく支部長など勤められていのかと、感心致しますわね」


そうラミスが嘲りを含めて吐き捨てるが、それにさえ支部長が言い返すことはなかった。

その支部長の態度にさらにラミスは言葉を重ねて行く。


「正直この手で裁いてやりたい気もいたしますが、一度ここを見捨てようとした私にそんな資格があるなどとは思っておりませんので、私はここでこの場を去らせて頂きますわ」


「っ、はっ!」


だが、そのラミスの言葉が終わった瞬間途端に先程まで大人しくしていたのが嘘のように支部長はラミスを嘲笑した。


「そのままで行かせると思うなよ!お前には私の奴隷になって貰わない……なっ!」


しかし、その支部長の言葉は突然投げられた何かによって遮られた。


「ほら、カス野郎」


「きさまぁ!」


支部長はその何かを投げたテミスの姿に苛だたしげに舌打ちをして、投げ返そうとする。


「えっ?」


だが、次の瞬間それが何なのかを悟り言葉を失った。

それは人質をみはる自分の部下がつけていた装飾品でったのだ。


「お父さん!」


「あなたぁ!」


そしてその次の瞬間だった。

ぼろぼろな格好をした、それでも元気な姿の女性と子供が側近達に向けて走ってきたのだ。


「ぁ、ぁぁ、」


その状況に支部長の顔から引いて行く。


「貴方を裁くのは彼らにお任せしますわ」


そして嘲笑まじりに告げられたラミスの言葉に支部長の顔に隠し切れない恐怖が浮かんだ……

ご報告遅くなりましが、ファンタジー大賞にエントリーしています……忘れているうちに32位と地味に好成績を…

ありがとうございます!

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