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元令嬢、魔獣を圧倒する

「Gaaa!」


飛びかかってきたラミスへと反応した魔獣の動き、それは魔法を使うまでと比べ明らかに向上していた。

魔法保有者が人間離れした能力になる理由として身体能力強化がある。

それは魔法を身体に纏う面積が大きくなるとそれに比例して身体能力が強化されるという魔法の能力。

それはどんな魔法保有者でも使える初歩的な能力で、単純かつ強力な能力。


しかも身体強化した魔獣は元々の力の問題で魔法を発揮した状態のマイヤールさえも超越した身体能力を発揮しているのだ。


「はぁぁぁぁあ!」


「Ga!?」


ーーー だがラミスはその明らかに人間を超越した筋力を持つ魔獣を押し込んだ。


魔獣は何とかラミスの剣を爪で受け止める。

だが、魔法を発動しているのにも関わらず、押し負けたのは魔獣の方だった。

勢いを込めて振り下ろされた剣。

だがその分弾いた時に晒すことになる隙は大きくなると魔獣は勝利の確信を持って爪を突き出したが、現実大きな隙を相手に見せることとなったのは自分だった。

その現場に魔獣の頭に戸惑いが生まれる。


「Gaaa!」


だが、ラミスの殺意を感じ、後ろに飛び去った次の瞬間にはそんな疑問など頭から抜け去っていた。


いや、そんなことを考えていたら間に合わなくなる、そんな直感が頭によぎったのだ。


「ちっ!」


そして魔獣は先程まで自分の姿があった所に振り下ろされた剣を見て、直感に自分が救われたことを悟る。

直感が頭によぎった時、ほんの一瞬でも躊躇いを覚えていたら魔獣の身体はラミスの剣に切り裂かれていただろう。


その光景を見てようやく魔獣はあることを理解する。

それは目の前で自分を仕留められなかったことに対して舌打ちをしている女、それは先程戦った魔法保有者など比較にならない程恐ろしい相手だということを。


「Ga?」


だが魔獣はそう理解してもなお、未だマイヤールを脅威だと認識した時のように目の前の女を敵だと認めることは出来ていなかった。


「本当に忌々しい。まさかこんな場所でまたこんなものを目にすることになるなんて……」


それは決して目の前の女に自分は勝てると確信したからなんて理由ではなかった。

そんなこと一切魔獣の頭にはない。

それどころか、今の魔獣はマイヤールと戦ったその時よりも命の危険を感じている。

もちろん女だからという理由で敵だと認識できないわけではない。

例え男女の筋力の差があったとしても、それでも魔法を使うことが出来ればその程度の差などあっさりと覆る。

そのことを魔獣は身を持って知っている。

いや、それどころか男や女など途中から魔獣の頭から抜ける程の実力を目の前に立つ女は持っていた。


だからこそ、魔獣は目の前の女の存在が信じられなかった。


「Gaa!」


女がとんでもない実力を持っていることもわかっている。

いや、それどころの話なんかではない。

気を確かに持っていなければ幾ら自分だといえどもあっさりと殺される、それだけの認識を先程の攻撃だけで魔獣は確信していた。


ーーー だからこそ、魔獣は一切魔法を発動することなくそんな力を振るう目の前の女の存在を信じることが出来なかった。


「Gaaa!」


目の前の女に気圧されることのないように魔獣があげた雄叫び。

だが、その雄叫びの中には隠しきれない恐怖が、理解できない存在への恐怖が浮かんでいた………







◇◆◇






「Gaaa!」


最初の攻防を経て、突然魔獣の動きが悪くなったことにラミスは気づいていた。

そしてその動きが悪くなった原因が、魔獣の持った恐怖の所為だということにも。


それは明らかな異常だった。


魔獣は本来感情など持たない。

それは魔獣が生きていないというその大前提から成り立つ鉄則で、だからこそラミスは悟る。

目の前の魔獣は何故か生命を持っていると。


「何で、またあなた達のような存在が!」


ーーー そしてそれは自分の頭にあるあの禁呪が元となった存在であると。


ラミスの頭にある記憶が浮かぶ。

男性と女性、それは何方もとても見覚えのある顔で、


その2人は血だらけになって倒れ伏していた。


ー あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは


そしてさらにその2人のすぐ側では虚ろな目をした1人の男が笑っている。

ケタケタと、狂ったように哄笑をあげながら。

いや、実際にその男は狂っていた。

完膚なきまでに壊されていた。

とある禁呪によって与えられた、特別な力と代償として。



「あの時、殺したはずなのに!」


そしてその忌々しい記憶が頭によぎるたびに、ラミスは感情的に剣を振るう。


「Gaaa!?」


それは魔法も何も使っていないただの斬撃。

なのに固く普通は殆ど刃が通らないはずの黒い魔獣の皮を、肉を切り裂いて行く。


そしてその姿を見て、ぽつりと声を出したものがいた。


「戦乙女……」


唖然と、信じられないと、そう言外に告げた表情でマイヤールが漏らした声。

それは誰の耳に入ることもなく霧散していった……

現在この作品と同時連載で“婚約破棄のその前に〜英雄の逆鱗に触れた王族”という作品を投稿しておりす。

ざまぁと溺愛系の作品でまだ読みやすい作品だと思うので是非!

http://ncode.syosetu.com/n2368ef/

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