攻略のきっかけを探せ!
次の数ページを読んだら、きっかけらしきものが数カ所混ざっていた。
* * *
「今日は、班で音読を次回、発表する為の練習をしてもらいます。いかにその役になりきれるかが評価のポイントとなるので、自分らしいキャラクターを演じて下さい。なお、ナレーションは私が読みます。それでは初め!」
国語の古川先生が授業開始直後に宣言した内容は今日初めの私達の言い争いのきっかけになった。
「ましろ、ちゃんと練習してね?」
「そっちこそちゃんとしろよな?」
から始まるいつもの下り。
「紅音、齋藤〜? ちゃっちゃと役決めよう。言い争いは後からね」
「そうだそうだ! 夫婦漫才は後からやれよ!」
「誰が夫婦漫才じゃ!」
「夫婦漫才って何?」
今回の班は私の親友の天森綾帆とましろの親友の山南圭汰。それから私とましろ。
読む話はなんと、白雪姫。その上、最終的には劇として仕上げてクラスで発表しなきゃいけない。そして投票で一番良かったところが幼稚園で発表する事になるのだ。
話は班ごとに違って
・白雪姫
・シンデレラ
・ラプンツェル
・美女と野獣
・雪の女王
・不思議の国のアリス
・人魚姫
・赤ずきん
・眠り姫
・親指姫
の10。アリスは異常な程の人気で(普通に楽そうだからかな?)見事にジャンケンで負けた私達は白雪姫となった。
「んで、配役どうすんの?」
私が聞けば、綾帆が
「そうだな〜。まず、白雪姫1人と王子兼継母から依頼された暗殺者1人と......」
「確かに、白雪姫は大事だな。王子兼継母から依頼された暗殺者も......って! ダメやん? 王子暗殺者なのはマズイやん? 命狙ってきた相手にキスで起こされるとか物語的にアウトっしょ!? 」
安定のノリツッコミをした私。
「紅音違うって。さすがに私も物語は変えないから大丈夫だって。小人はとりあえず1人でいいって言われてて、白雪姫と継母は1人でこなせって言われたじゃん。ってことはよ?必然的に小人が鏡兼役、王子が暗殺者兼役にならないと話し進まないのよ。OK?」
「あ、OK」
上手く言いくるめられた感じがあるけど、まあ良しとしよう。
「天森と佐倉でどっちが白雪姫やるか決めて。俺とましろでどっちが王子兼継母から依頼された暗殺者やるか決めとくから」
そう言った山南は一瞬綾帆の方を向いて二人は目で何かを合図していた。
(山南、何としてでも齋藤を王子兼継母から依頼された暗殺者にしてね)
(天森も、佐倉を白雪姫にしろよ)
とかやってたっぽいけど。