春(8)
ちょうどその頃、境内には冥界にある白玉楼に住まう亡霊・西行寺幽々子(さいぎょうじ‐ゆゆこ)が来ていた。
幽々子「はぁ~、お腹空いたわ…何か無いかしら。」
幽々子は食べ物を求めて縁側に向かった。
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幽々子が縁側に来ると、寝ていた魔理沙が起きた。
魔理沙「幽々子じゃないか。お前、何しに来たんだ?」
ゆゆ「今、お腹ペコペコなのよ~。ほら、“腹が減っては戦はできぬ”って言うじゃない?」
魔「……何が言いたいんだぜ?」
ゆゆ「妖夢が作ったご飯もいいのだけれど、たまには他の人が作ったご飯も良いわよね~。」
幽々子はあっちにフラフラ、こっちにフラフラしながら呟いている。
ゆゆ「私が急に押しかけて行っても迷惑だから、例えば“夕食ご一緒しませんか?”なんて誘ってくれるような心優しい人は居ないかしらね~。」
萃香「今夜、ここで鍋を―――」
魔「萃香、何言ってんだ!幽々子、何でもないぜ!?」
ゆゆ「今、鍋って言わなかった?」
魔「今夜、鍋の修繕をやるんだ!」
ゆゆ「美味しそうな匂いが…。」
魔「えーと…ほらアレだ、旨そうな匂いを出す実験やってるんだよ!」
鍋をすることを必死で隠そうとする魔理沙に、幽々子は疑いの眼差しを向ける。
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突如消えた幽々子の行方を追って、幽々子の指南役兼庭師の魂魄妖夢(こんぱく‐ようむ)が本殿の前に来た。
妖夢「向こうから幽々子様の声がする……さては!」
妖夢は縁側に走っていった。
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縁側では幽々子と魔理沙による激しい攻防が続いていた。
ゆゆ「何で中に入れてくれないのよ~。」
魔「だから“禁則事項だ”って何度も言ってるだろう?さあ、帰った帰った!(そろそろヤバいぜ…;)」
そんな時、妖夢がやって来た。
みょん「幽々子様、探しましたよ。全く、何やってるんですか!!」
魔「おう、妖夢か(助かったぜ~)。」
ゆゆ「よーむぅ、聞いてよ~。このイジワルな魔法使いが私を追い返そうとするの~。」
みょん「幽々子様が突然押しかけてくるからです。さあ、帰りますよ!」
妖夢が幽々子の手を掴んだ。
ゆゆ「たまには他人のご飯も食べてみたいわ。」
みょん「贅沢言わないで下さい。さあ、行きましょう!!」
ゆゆ「そんなぁ~~~~~~~~~~~~~。」
幽々子は妖夢に引きずられていったが、石段の前で立ち止まって名残惜しそうに本殿を見ていた。
みょん「幽々子様!!」
しかし妖夢に咎められ、幽々子はしぶしぶ神社を後にしたのであった。
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再び縁側。
しばらく幽々子を見送っていた魔理沙を萃香が問い詰めた。
萃香「どうして幽々子を中に入れなかったのさ!?」
魔「仕方ないじゃないか。幽々子に全部食べられるかもしれないんだぜ?」
萃「それじゃあ仕方ないよね。」
すると、台所からアリスが戻ってきた。
アリス「誰か来ていたの?」
萃「うん。幽々子たちが来てたけど、魔理沙が追い返したよ。」
ア「ああそう。それじゃ、夕飯の支度ができたから手伝って頂戴。」
萃&魔「はーい。」
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その後、霊夢たちは楽しく夕飯を食べていた。
霊「はい、どうぞ。」
萃「ありがとう♪」
魔「ああ、旨いぜ~。」
ア「本当ね。」
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それから一時間後。
萃「うぃー。酔ったぞぉ~!」
魔「おいアリス、おみゃーももっと呑めよ~。」
ア「私はもう良いわよ~;」
霊「三人とも、あまり飲み過ぎないようにね。」
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さらに5分後。
キノコの副作用からか萃香が巨大化して、アリスがちゃぶ台もろとも外に放り出されてしまった。
霊「ああもう…なんでいつもこうなるのよ~!!」
魔「………!(←爆笑中)」
ア「きゃあっ!?」
萃「(-.-)zzZ・・・。」
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一方、本殿の前にはみすちーと彼女の親友で蛍の妖怪のリグル・ナイトバグが来ていた。
リグル「夜は私たち妖怪の時間ね。」
みすちー「そうね。さて、何をしようかしら?」
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特に何をするわけでもなく雑談していると、白玉楼から抜け出してきた幽々子に居合わせてしまった。
ゆゆ「あ、焼き鳥発見♪」
リ「みすちー逃げて!」
みすちー「\(^o^)/{オワタ)」
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そして、いつものように追いかけっこが始まった。
みょん「幽々子様!……ああ、遅かった;」
リ「(蛍で本当に良かった~;)」
ゆゆ「私の唐揚げちゃん、待ちなさ~い♪」
みすちー「ああもう…なんでいつもこうなるのよ~!!」