春(7)
霊夢が夕飯を何にしようかと考えを巡らせていた頃、神社上空を飛んでいた小町の上司で閻魔の四季映姫・ヤマザナドゥ(しきえいき‐やまざなどぅ)が石段に座って寝ている小町を見つけた。
映姫「(やれやれ…。私もとんだ部下を持ったものです。)」
小町の後ろに降り立ち、声をかける。
映「小町、起きて下さい。」
小町「(-.-)zzZ…。」
映「小町、起きなさい!」
語勢を強めて言ったのが功を奏したのか、小町は目を覚まして後ろを見た。
小「………こんなところに四季様が居るわけ無いよね。だって四季様はあたいと違って忙しいんだもん。」
……が、また寝てしまった。
映姫は咳払いを一つして、叫んだ。
映「……小町ぃ!!」
小「ひゃんっ!?」
小町は驚いて飛び起きた。
小「げげっ、四季様!?」
映「またこんなところでサボっていたんですね!今日という今日は許しませんよ!」
小「夢の中できちんと仕事していたじゃないですか~!」
映「貴女の夢のことなど知りません!こら、待ちなさい!」
逃げる小町とそれを追う映姫。この構図はいつ見ても見飽きない。
境内を何度も回った二人はついに神社を飛び出して行った。
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それを境内にある桜の木の上から見ていた幽香。
幽「(ククク…。あの二人も随分と面白いわね。)」
しきりに人里方向を気にする幽香。いったい何がそんなに気になるのか。
幽「(さて、帰りましょうか。)」
幽香は去っていった。
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三度、縁側。
霊夢はまだ夕飯のメニューを考えていた。
霊夢「キノコもあるし、魚や山菜もある…か。う~ん………鍋にしようかしらね。」
鍋と言った途端、眠っていた萃香が飛び起きた。
萃香「鍋だって!?やったね♪」
霊「誰かさんがタダ飯食べようとしているから、やっぱりやめようかしら。」
萃「いやいや、明日はちゃんと手伝うからさ。それにほら、お酒もあるし。」
萃香は酒が無限に湧き出てくるという不思議な瓢箪を霊夢に見せた。
霊「そう…なら良いわ。あんたたちも食べていく?」
魔理沙「ああ。もちのろんだぜ!」
アリス「そらそうよ。」
霊「“そらそうよ”って、某プロ野球チームの監督か!……まあいいわ。そしたら待っててちょうだい。」
ア「霊夢、私も手伝うわ。」
霊夢とアリスが台所に向かうのを見届けると、魔理沙はごろんと横になった。
しばらくすると、アリスが戻ってきた。
ア「魔理沙、手伝わないの?」
魔「いや、手伝うことには手伝うが今日は一日中運び屋やって疲れたからな…。台ふきで良いか?」
ア「お疲れさま、それで良いわよ。ありがとう。」
萃「私は配膳と後片付けの時に手伝うよ。」
ア「分かったわ。それじゃ、よろしくね。」
魔&萃「あいよ。」
アリスが再び台所へ戻っていく。
魔理沙は仮眠に入り、萃香は廊下をうろつきはじめた。
魔理沙が眠りについて数十分後、台所から何とも言えない美味しそうな香りがしてきた。
萃「(早く食べたいな♪)」
(続く)