春(2)
萃香「なあ霊夢、これからどうするんだ?」
二人を見送っていた霊夢に萃香が尋ねた。
霊夢「ん?そうね…境内もだいたい綺麗になったし、朝ごはんにしましょうか。準備をするから待ってなさい。」
萃「おう!」
縁側に戻ってきた萃香は、腰に提げている瓢箪を取り出して酒を呑み始めた。
萃「ぷは~!桜を見ながら呑む酒は最高だね!にゃはは♪」
そこへ、霊夢が来た。お握りを四つ載せたお盆を持っている。
霊「いただきます…って、朝からお酒呑んでるの?」
萃「いいんだよ、私は鬼だからね。」
霊「お握りの味が分からなくなっても知らないわよ?」
萃「鬼にお握りを食べさせるとは、霊夢も罪な巫女だね~。」
霊「それは古事記での話しでしょ…いらないなら私が貰うわよ?」
萃「もちろん食べるよぅ。」
いただきます、と言って萃香もお握りを食べる。お握りは二つともおかか(=鰹節)が入っていた。
萃香がお握りを食べ終わるのを見計らって、霊夢はお盆を下げた。
~~~~
その頃、境内を一匹の妖精がうろついていた。氷の妖精・チルノである。
チルノ「誰も来ないわね…。よし、最強のあたいが賽銭箱にいたずらするわよ!」
チルノの目的は賽銭箱へのイタズラだった。
賽銭箱に大量の蛙を入れておき、賽銭箱の確認に来た霊夢を驚かす計画を立てていたのである。
チ「そうだ、その前に賽銭がいくら入っているか確認を…。」
その時、裏から足音がした。足音はこちらに近づいてくる。
チ「やばい!一時避難するわよ!」
チルノは守矢神社の祠の裏に隠れた。
~~~~
?「お~い!」
上空で声がした。
霊夢と萃香が上を見ると、箒に跨がった二人の少女が居た。
前に魔法使いの霧雨魔理沙(きりさめ‐まりさ)、そして後ろに人形使いのアリス・マーガトロイドが乗っている。
萃「おお~!」
萃香と霊夢は手を振って二人を歓迎した。
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魔理沙「昨日な、素晴らしいものを見つけたんだよ。」
地上に降り立った魔理沙の第一声はそれだった。
萃「素晴らしいもの?」
魔「ああ。歴史に残る大発見に違いないぜ!」
霊「アリス、何のこと?」
霊夢は魔理沙の異常に高いテンションについていけず、アリスに尋ねた。
アリス「実物を見たほうが早いんじゃないかしら。魔理沙、持ってきてるんでしょう?」
魔「おう。ちょっと待っろよ?」
魔理沙は後ろを向いてエプロンドレスを漁り、ある物を取り出した。
魔「じゃ~ん、これだぜ!」
霊&萃「Σ( ̄□ ̄;)」
振り返った魔理沙が手に持っていたのは、笠の部分が鮮やかな赤色をしたキノコだった。
霊「…まさか、毒味しろとか言うんじゃ無いでしょうね?」
魔「その『まさか』だ。毒は無いから大丈夫なはずだぜ?」
霊「嫌よ、見るからに毒々しい色してるじゃない!」
魔理沙が霊夢に詰め寄り、それに伴い霊夢が一歩後退する。
萃「霊夢、キノコ博士が言っているんだから問題ないと思うよ?」
霊「嫌なものは嫌なの!」
萃「だったら私が味見するよ。そのキノコ、ちょうだい♪」
あーん、と口を開けた萃香を霊夢が叩く。
霊「なに考えてんのよ!」
萃「むぅ~。」
魔「(やれやれだぜ…。)」
…と、魔理沙のターゲットがアリスに変わった。
魔「アリス、どうだ?」
ア「私も遠慮しとくわ;」
魔「遠慮する必要は無いぜ?」
後ろに下がるアリスに、じりじりと詰め寄る魔理沙。
ついにアリスはへたりこんでしまった。チャンスとばかりに魔理沙はそれを突きつける。
魔「ほら、私のキノコが欲しくないのか?」
ア「卑猥な発言は止めて!」
魔「そんな堅いこと言わずに食べようぜ?」
ア「イヤ~!」
バシッとキノコを持った手を払いのける。魔理沙はそれほど力を込めてキノコを持っていなかった。
いま、キノコは魔理沙の手を離れ、空中で放物線を描いている。
魔「おおう、勿体ない!」
魔理沙はキノコの落下点に行き、口を開けて待機。そして見事にキノコを受け止めた。
魔理沙以外の三人「(食べた!!)」
だが、ほどなくして魔理沙が苦しみ始めた。
霊「魔理沙、大丈夫!?」
魔「~~~~っ!」
どうやら、喉にキノコが詰まったらしい。たちまち魔理沙の顔が紫色に変化した。
霊「アリス、永遠亭に行って永琳を呼んできて!」
ア「わ、分かったわ!魔理沙、無事で居なさいよ!?」
わたわたしながらアリスは神社の石段を駆け降りていった。参道で突っ立っていたチルノを突き飛ばして…。
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突き飛ばされたチルノは堪ったものではない。
チ「もう、何なのよ~!」
改めて辺りを見渡してみるが誰もいない。
するとまた、チルノは後ろから誰か(アリス)に突き飛ばされた。
ちなみにその時、神社上空を厄神の鍵山雛(かぎやま‐ひな)が回転しながら通過していった。
チ「むき~!もう怒ったわ!」
二度も突き飛ばされたことに憤慨したチルノは、一気に石段を駆け下りていった。