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すげーイライラする。


何であんなヤツ好きになったんだろう。


何であんな事されて尚、嫌いに

なっていないんだろう。


色んな意味で散々コケにされてんのに。




夕食後、ノックの音と共に

近衛が突然部屋に入ってきた。


「邪魔するぜ」


「勝手に入ってこないで下さい、

貴方のお部屋は隣ですよ」


そんな俺の言葉なんか無視してそのまま

ベッドへと腰掛ける。


俺はというと、意地でもそっちの方を向かず、

教科書を手に勉強をする……フリを続けていた。


当然だけど、意識は本より完全に近衛。


しかし、近衛は何も話さず後ろに

ただ座ってるだけ。


余りの静けさに段々居たたまれず、喋り出したい気持ちと、

振り向きたい衝動に激しく苛まれていた。


しかしだ、ここでそうしちゃ

何か負けた気分がして……


だけど心の葛藤は、

ますます激戦の様相を呈してくるばかり。


ダメだ……この沈黙に耐え切れない。


この時点で、中村ならきっと発狂してる。

多分そういうトコが俺と奴の共通点

かもしれない。


何やってんだ、近衛の野郎。


いきなり俺の部屋に来て、

また何か企んでるんじゃねぇのか。


「お前さ、何やってんの?」


やっと、口を聞いたかと思ったら

そりゃ俺のセリフだっつーの!


「ハァ?勉強だろ?見て分かんないのか?」


教科書持っててそれ以外に何だっていうんだ。

それとも何か?本当はお前に気を取られてて

勉強してるフリでもしてるってのかよ!


―――アレ?それは、どうなんだ?



「……勉強ねぇ」



そんな俺の心の内を見透かしたかのような、

相変わらず見下した言い方の近衛にイラッ。


「で、何?なんの用?」




「この前、勉強教えて欲しいとか

言ってなかったっけ?」



「覚えてねーよ」


「お前さ、都合が悪いこと上手く

掻い摘んで忘れるの得意だな」


羨ましいだろうと言ったとこで

ヤツの目つきが変わった。



「折角のイイトコ邪魔されたんだぜ?こっちは。

どう責任取ってくれんの?」


「自業自得じゃん。この家で俺がいる時に

しようとするとか、あり得ないだろうが」



「お前がいる時じゃないと意味ないからな」


ついでだから一つ面白い事教えてやろうか?と

言い出した内容はこうだ。


あの日、その業者は結局来ず、

後日来ることになった。

その理由はこちらからそうして欲しいと

事前に連絡をしたからとの事。


その連絡を入れたのは、近衛。


両親はおろか、俺に知らされなかった理由は、

俺を足止めする為。


だから俺が部屋にいることなど

重々承知していたという訳等々。


因みに、両親に映画のチケットを渡したのも

自分だと付け加えて。



ブチッと何か切れる音がした。


「お前、そんなに俺の事、嫌いなのかよ!?

俺が何をしたって言うんだ?」




「……へぇ、今はそうなってるのか。

お前の物事の変換能力って独特だな。

思った以上に……アレか」


アレってなんだよ、アレって。


俺が怒鳴ってるのにどこ吹く風の近衛は、

ベッドの縁に腰かけたまま

後ろ上体を逸らして、呆れたような物言を

崩さない。


つくづく嫌な奴だ。


「もう俺も、今後お前に関わらないように

するから早く部屋出て行けよ」


「話終わって無いし」


「じゃ早く言って出てけ」


「邪魔されたケリは付けさせてもらう」


「どうやって?」


俺はへへんと仕返しとばかりに

思いっきり上目線で言い返してやった。


だけど、


「そうだな、例えば」


「お前の彼女へ電話を掛けさせた後、

お前をイカせながら、それを実況

するってのもアリだし」


「なっ!」


冗談とは思えない目つきで舌なめずりをする

その姿に背筋が凍った。


コイツならやりかねない。



「面白そうだろ?」


全然、面白くないし、しかも笑えない。


「まぁ、残念ながら今回はしないけど。

そんな声、女に聴かせるの勿体無いからな」


ここはホッとすべき所なのか、

コイツの思考にガクブルするべきか

非常に判断に困る。


「そこで提案だ」


「今度のチーム対抗で勝負はどうだ?」


「神聖なサッカーを下らないことに

利用したくない」


「ああ、ハンデはやる。俺は一年Bチーム。

お前は二、三年のAチームに入れ。

そっちにはストライカーの日野先輩がいるし、

DFはこっちとは比べようにならないくらい

レベルは上だ。


悪くない話だと思うが?紺里は俺が説得する」


「俺が飲まなきゃいけない理由ないからパス」


「何?この条件でも

俺を止めれる自信無い?」


「なんだと!?」


「勝てないと思ってるから、受けないんだろ?

負けるって分かってて了解するバカいないからな」


自分一人がいれば勝てると思い上がってるのか?

ズゲー自信だな、ムカつく。


サッカーは団体競技だ。

いくら天才だかなんだか知らねーけど、

個人プレーがそうそう通用するもんか。


「じゃ飲むんだな?」


「受けてやろーじゃないの」


ニヤリと近衛が笑った時、

しまったと思ったけどもう後には引けなくて。


「俺への報酬は、そうだな……お前の

イキ顔を見せて貰おうか。

まぁ、手コキまでにしとくし」


「ハァ!!??い、いきなり何言ってんだよ?

どんな嫌がらせだ!?冗談にも程がある!」


「別にお前がやってるとこ、

して見せろって言ってるわけじゃなし、

俺がしてやるからお前気持ち良いだけで

損はないだろう?それともフェラの方にするか?」


―――どんな究極な二者選択だよ!


実にサラリと、とんでもない事を言ってやがる。

今言った自分の発言よく考えてみろ?

スゲー問題発言してんだぞ?自覚ないのか?

これも陰謀か??この二重人格のサド野郎!

普段とのギャップあり過ぎだぞ!詐欺男!!


こんな事コイツから言われて顔が

赤くならないはずがない。


「どっちも嫌だ!!」


「勝てるんだろ?

だったら別に問題無いと思うけど?。

無論、俺の要望だけ言うのもなんだから

お前の希望も聞くぜ?」


何で、もう受けてる雰囲気に持っていくんだよ。


「じゃ、じゃぁ俺が勝ったら、

もう一切俺に構うな」


それは咄嗟の一言だった。

絶対、コイツなんかに負けてたまるもんかって

気持ちが言わせた言葉。




「……良いだろう」




近衛は答えるとやっと立ち上がり、

ボソリと呟いた。


「なぁ、此処以外の別の所でなら

先輩抱いても良かったのか?」


「…………」


どっちも嫌に決まってる。


近衛はまるで俺の答えが分かってるかのように

返事も聞かず再び扉の方へ歩き出した。


「それと、勉強はマジメにやれよ」


「やってんだろーが!お前が邪魔しに

来てんじゃねーか!」


「俺はてっきり……」


回りくどい!言いたいこと言えっての。


「教科書、逆さまだ。

……俺が部屋に入ってからずっとな」





―――早く言え……よ。





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